大崎由希のよりみち☆シネマ #40『塀の中のジュリアスシーザー』 | 大崎由希オフィシャルブログ「ゆきちーたいむ」Powered by Ameba

大崎由希のよりみち☆シネマ #40『塀の中のジュリアスシーザー』

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みなさんこんにちは。
辛い寒さの続く毎日ですが、体調崩されていませんか?
冬は乾燥の厳しい季節。
でもどちらかというと、お肌や喉は室内の暖房でやられている気がします。
乾燥は体調も悪くしますから、みなさまも気をつけてくださいね。

さて、そんな今日ご紹介する映画は、
室内は室内でも一度入れば自由な出入は厳禁の、刑務所の中のお話です。





『塀の中のジュリアスシーザー』
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ローマ郊外にあるレビッビア刑務所。
ここでは定期的に囚人たちによる演劇実習が行われていた。
今回の演目はシェイクスピアの『ジュリアスシーザー』。
オーディションを経て、出演を希望する重罪犯たちの役所が決まっていく。

主演シーザーに麻薬売買で刑期17年のアルクーリ。キャシアスに累犯及び殺人で終身刑のレーガ。ブルータスに組織犯罪で刑期14年6ヶ月のストリアーノ。

実際の刑務所で、実際の囚人たちが稽古に没頭している。
それぞれの性格や過去が役柄とオーヴァーラップし次第に同化していく。

ドキュメンタリー制作に精通するタイヴァーニ兄弟ならではの、現実と虚構の狭間を越える映像作品です。


『ジュリアスシーザー』とは、
ローマの英雄であり独裁者のシーザーが凱旋すると、ローマの行く先を案じた親友ブルータスはシーザーを暗殺。
しかし、後にブルータスはシーザーの甥オクタヴィアスと退治し敗北、召使に自害を手伝わせ自らも命を絶つ。
というローマ史を元にシェイクスピアによって書かれた悲劇の戯曲です。


囚人たちにとって祖国の物語である『ジュリアスシーザー』。
舞台に立って華やかな照明と盛大な歓声を浴び、すべてが終わればまた独房へと戻らなければならない囚人たち。

外界と隔離された監獄の中で、誰よりも孤独と戦い、長い時間自分とその犯した罪と向き合い、役柄を投影し自らとも向き合ってゆく姿を、刑務所の様々な場所で生活と共に行われている稽古を通して映し出しています。




さて、そんな今回のよりみちポイントは☆

劇中でブルータス役を演じているサルヴァトーレ・ストリアーノ。
2001年1月11日に組織犯罪で逮捕され14年6ヶ月の実刑を受けますが、2006年に減刑となり出所。
刑務所内での演劇実習で芝居に目覚め、出所後は役者に転身しています。
転身後はシェイクスピアの『テンペスト』や、カンヌ国際映画祭の審査員グランプリを受賞しているマッテオ・ガローネ監督作品『ゴモラ』など、様々な傑作や話題作に出演。
今回の『塀の中のジュリアスシーザー』では、ブルータス役を演じるために自身も収容されていたレビッビア刑務所に戻ったのだそうです。


『塀の中のジュリアスシーザー』は、2013年1月26日銀座テアトルシネマより全国順次公開。

来年5月には惜しまれつつも閉館が決定している銀座テアトルシネマで「閉館カウントダウン3」として上映されますので、みなさまもぜひこの機会に足を運んでみてくださいね。


それでは、
また素敵な映画に出会えますように☆

大崎由希