モーツァルト:交響曲第31番ニ長調K297「パリ」

 

この交響曲はモーツァルトのなかでも好きな交響曲で、曲の短さや気楽に聴けることもあって選ぶ頻度は高い交響曲です
さて、音楽評論家の石井宏さんはこの31番の交響曲についてこう書いています


この曲はモーツァルトのシンフォニーの中でも異例のものであり、パリの聴衆を意識して書いたために、彼自身のいつもの「歌」は後退して、曲想は強弱法の面白さを中心に置いている
その後にこう書いています
その意味では大家の演奏を必要としない曲である

ここはパスピエとしてはド素人ながら異を唱えたいのです(^^ゞ
この第1楽章は、軽い演奏では、特にピリオド系ではダメで、現代オーケストラによる大家の、重量級の疾走感が欲しいのです。
というのは、この曲を最初に聴いたのがベーム/ベルリン・フィルハーモニーの演奏

これがとても気に入り、以後いろいろな演奏を聴いてきましたが、この31番「パリ」に限ってはベーム/ベルリン・フィルハーモニーが聴かせてくれる覇気とパワーに満ちた響き以外は、ダメなのです。
因みにベームは1978年頃に同じ曲をウィーンフィルとで録音しています
その演奏のDVDが手元にあるので聴いてみましたが


テンポはずっと遅くなっていて生命力というか覇気にようなものが失われています
もちろんオケがウィーンフィルということもあって、優雅さと、他に言葉が思いつかないから使いますが、味わい深さがあって別の美しいモーツァルトが聴けますが、パスピエにとってはベルリン・フィルハーモニーとの演奏に迷うことなく軍配を上げてしまいます
録音もこの時期のものとして不満のない立派なものです
格調が高く充実した響きのベームとベルリン・フィルのモーツァルト
この曲はもちろん他の曲も・・・歳を重ねるほど気に入っています(^_^)