強風吹きすさぶ中、親子で早稲アカに向かう時と同じバスに乗る。

向かう先は、いつもの早稲アカ様とは違い、立派なビル。そして、通された応接室のソファーは座り心地が良く、何やらクラシック音楽まで流れている。

そう、遂に来てしまった。中受界隈でも圧倒的にお高い、という噂のTOMASにガーン

この立派な設備に、信者達の多額のお布施が遣われているのね。


現れた先生は、あくまでも柔和な営業スマイルを崩さず、お優しい口調。

いつも、体育会系の早稲アカにビシバシ厳しく鍛えられている幼男子の眼も輝くラブ


お父さん「国語の成績でお悩みとの事ですが、解答用紙を拝見出来ますか」

悲しい「こちらが、前回の組分け、そして日曜日に受けた合不合のものです」

お父さん「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥!?」

私は見逃さなかった。柔和先生が、ギョッとしたように点数を見た後、何点満点か確かめた事を。

悲しい「酷いですよね。まず、読むスピードが遅すぎる事、そして精神的に幼い為、最近多い思春期女子の心情理解の問題など、複雑な物語文の読解がまるで出来なくて」


柔和先生のニコニコ度が増す。

お父さん「なるほど。お母様、本当に良い時に来て下さいました。秋口に来て下さる方もおられるのですが、それだと正直間に合わない事も多いので。今からだと、充分可能です。お任せ下さい」

不安出たよう。良い時に来た、という営業トーク。

「大体、どの位で成果を期待できるものでしょうか」

お父さん「大体、国語だと3~4ヶ月はみて下さい。算数も重要なので、国語が伸びてきたら、算数を追加されても良いと思います」


不安冗談じゃないわ。ここ、大変お高いのよ。週1でも、早稲アカ様へのお布施と加えて、我が家は破産しそうよ。週2コマなんて、教育破産よ。

「ほほほ。週2コマは、お金の問題が。例えば、国語が伸びてきたら、算数に切り替えるなど、柔軟な対応は可能でしょうか」


お父さん柔和先生、我が家は入信希望だが、そんなに多額のお布施は期待できない、と踏む。

「お母様、勿論可能です。因みに、大手の夏期講習では間に合わない、と考えられて、うちで夏期講習を全てお任せ下さる方もいらっしゃいますよ」

不安「そっ、それは凄い富豪の方ですね。我が家では、とても無理だわ」

お父さん「はっはっは。まあ、その辺はまた直前期に考えましょう」

泣き笑い「ええ、直前期に。ホホホ」


こんなTOMAS様のお布施代。

1コマ80分。週1回(月4回)44000円也。

入会金・27500円也。


泣き笑い「因みに先生、今入会金キャンペーンとかは有りませんよねえ」

最後まで往生際の悪いへっぽこ母

お父さん「はっはっは、お母さん(お母様→お母さんへ)うちは、そういったキャンペーンは一切無いのですよ。その分、内容にご期待下さい。明日か明後日、手続きに来て頂けますか」

不安さすがやり手ね。申し込みまで時間を与えない、という鉄則。

「分かりました。明日伺います。うちの子、伸び代だけは沢山有ると思うので、宜しくお願い致します」

お父さん「はっはっは、伸び代は沢山有りますよ。ご期待下さい」

そりゃ、この点数だと伸びる余地だけは沢山有るさ。


という事で、今日TOMASに正式入信手続きに向かう、中学受験教の重篤妄信者へっぽこ母です。

ああ、宗派が早稲アカ派とTOMAS派に増えてしまった。どちらにとっても、鴨ネギな私。

帰宅後、血走った目で幼男子に1コマ11000円も支払うのだから、しっかり吸収するように、訴える母。

頼みますよ、TOMAS様。