アート・ステージ・シンガポール(Art Stage Singapore)という

アート・フェアより月曜日に帰国しました。


日本のギャラリーの英語サポートとして同行し、5日間ギャラリーの

ブースでお客様の応対をいたしました。アート・フェアの流れや雰囲気を

出展者側から見てみたいと以前から思っていましたので、この

お話をいただいた時には、即YES!!と返事をいたしました。


さて、

シンガポールへと向かった118日は東京が大雪に見舞われた日。


私のフライトは午前8:50の羽田発。前日に雪の予報を聞いて、早めに

出かけようと430位に家を出ることにしていました。(スムーズに行けば

自宅から羽田までは7080分位で着きます)


地元駅より電車→その後、空港行のシャトルバス、というルートを考えていました。

が、、、それが甘かったのですね。プロは、こういう大事な時

(特に今回は自分の出張ではなく、他社様にお願いされてのお仕事

でしたので)タクシーを予約するか、前日に空港近辺で泊まるとか

するでしょう!!!


しかしながら、アホな私は、完全に天気予報を甘く見て、

なんとかなるだろう。。。今までもこうやってきたし。

この素人的な考えが災いを起こす寸前までいったわけなのであります。


午前3時過ぎに起きて、かなり雪が積もっており、まだまだ降り続けている

様子を窓から見て、


あれ。。もしかすると、やばい???


と焦り、そこからタクシーに電話しても、遅かりし。

どこも話し中でつながらない。


晴れの日なら、普通に歩いて7分位で駅に着くのだから、雪の中、

スーツケース持って行っても30分あれば、大丈夫だろう。


と、これまた甘く見積もって、実際雪の中を歩き出したら。。

新雪で自分のスーツケースで“雪かき”しているような状態となったのです。

15センチ位積もっている感じでした。


これは重労働。。15分“雪かき”しながら歩いても距離的に全然

進まない。時間はたっぷりとってあるので、例え駅まで1時間かかったと

しても、時間は大丈夫かな、、


でも、私の身体は力尽きてしまうのではないだろうかとか、

風邪引いて、オシゴトどころではなくなるのではないだろうかとか、

そもそも電車動いているのかしら?とか。。


考え出したら、急に怖くなって、

まだガーガーとイビキかいて寝ていた相方に電話してヘルプしてもらうのか。

アメリカ人のように、ヒッチハイクしてみるのか。

この時間帯、タクシーの空車なんて走ってないだろうか。。

と立ち止まって考えたりもしました。


大通り(街道)沿いを歩きながら、走行する車を見ても、通るのは、

大型のトラックばかり。。流しのタクシーなんている訳ないよな。。

走っていても、送迎とかもう帰宅中のタクシーばかりだろうな。。


パニックになりかけたその瞬間、

赤信号で止まっていたタクシーを発見したのです!


空車も送迎のサインも出ていないので、きっと運ちゃんが帰宅する

途中なのか?暗くて、中にお客さんが乗っているのかもわからない。


スーツケースは置いたままにし、手を振りながら、タクシーのところまで

走って行って窓のところをノックしたなら、窓を下げて下さったので、

「すみません!!このまま直進したところに駅がありますので、

なんとか乗せていただけないでしょうか?!」と半べそかきながら

(半べそはウソですが、そんな気持ちでした)お願いをしたなら、


「今、お客さん乗せてますので。。。」

と運転手さんも困った様子。


が~ん。暗くて見えなかったのですが、後部座席には、男性の方が一人。。


そうだよね、、そうだよね、そんなに運よく空車なんてないよね~、、

その瞬間、ショックのあまり、私の顔が更に悲愴感に満ちてしまったのが

見えてしまったのか、後ろの席のおじさまが、


「いいよ~、途中まで乗って行けば~」


と言って下さったのです!

「いや、それは。。申し訳ないです。。。。」と言うと、

「この雪ですので、ここはお客様に甘えちゃっていいんじゃないですか?」

と運転手さんも優しく言って下さって、

Desperate な私は、ずうずうしくも、乗ってしまったのです。


「直進すると、左手に●●駅が出てきますので、そこで降ろして下さい。」

と運転手さんに言うと、お客さんのおじさまが、

「どこまで行くの?空港?」

私「羽田までなんです。」

おじさま「自分の行先は羽田経由なので、羽田に寄って、先に降りてもらっていいよ。」


???!!!


この方は天使?いや、神様なのかと思いました。


でもお客さんの出勤に間に合わないと、迷惑かかるし、それは申し訳ないとか、

そこまでは甘えずぎだとか、、言ってみたのですが、余裕をもってタクシーを

予約してあったので、全然大丈夫だと。気が付いたら、車は羽田に向かっていました。


見知らぬ方にここまで親切にしてもらったことはないし、

そもそも自分のずうずうしさにもビックリだったのですが、

車中、おじさまの会社名やお名前をお尋ねしても、


「お互い知らない方がいいでしょう。。」と


更なる、おじさまのお気遣いがありました。


会社の送迎のタクシーだったようです。ですので、タクシー代も受け取って

もらえませんでした。


最寄りの駅まで乗せてもらうだけでも涙が出るほどありがたいことなのに、

結局最終目的地まで乗せてもらい、しかも、名刺も(意図的に)いただけず、

お代も受け取って下さらない。。


普通だったら、月曜日の朝から、こんな面倒臭いことにかかわりたくない。。

というのが一般的だと思うのですが、


このように心温かく、親切にしていただいたおじさまは、

人間的に素晴らしく、

こんな上司やメンターがいたら、成長できるんだろうなぁ~なんて、早く着いた空港で

ボンヤリ考えていました。


所謂「偉い方」というのは、とても謙虚で人間的に魅力のある方が

多いのだと感じました。


そして、直接おじさまにお礼ができない私に出来ることって何だろう。

考え込んでしまいました。


。。。困っている人には親切にする。


当たり前のようですが、これに限るかな。


Pay backできないなら、Pay forward…


雪の日に、大きな大きな学びがありました。


おじさまがこのブログを読むことはない?と思いますが、

心から感謝しております。


無事空港に行けたこと、そしてそれ以上に、

私に感動を与えて下さったこと。


この雪の日の出来事は一生忘れないと思います。



帰国後の続きがありまして、、

帰宅後に、相方に、

「そういえば、あの日、●●線は午前中止まっていたので、

どうやって羽田に着いたのか、不思議に思っていたんだよ。。」

と言われ、


顔面蒼白になると同時に(予定していたルートだと、確実に飛行機に乗れていなかった)

さらに感謝の気持ちが増し、

今後の自分の在り方についても色んな意味で、考えさせられました。