〜父と私〜


若い頃は、酒は飲まなかったと、
父は言っていたが、多分、目の前のお寺に
出入りするようになって、
その頃から酒呑みの癖がついたものと思う。

私が、物心ついた時には、相当の酒豪で
親類に祝義、法事などがあると
必ず、私は母に言いつけられて、
父を迎えに行ったものだ。

祖母の実家や、従兄弟の家には
幾度となく通った。

また、夕食時の楽しみにしていた酒を用意するのも、私が小学校に入ってからは、
兄から引き継いで、私の役目となった。

小さな瓶を持って、
1合(0.18L)宛買っていた。
金額にして、10銭だった。
1升(1.8L)買いだと80銭だったが、
分量すると、測り倒すからか割高だった。

店の方が、4斗(72L)樽から、
1合枡に計る仕草は、
未だに目に焼き付いて忘れることができない。

同じ店から、毎回買うのも恥ずかしかったので、
今日は〇〇、明日は△△と
行き先を変えていた。

偶には、電球交換を頼みに行く序でに、
少し遠くまで行くことがあった。

唯、楽しみも1つあった。
お店の方が帰り際には必ず駄賃として
飴を2〜3個下さるので、
いやいやながらも、
それを期待して通ったものだった。


役目引き受け手がいないので、
末っ子として、小学校卒業まで続けた。