『フランス人は年をとるほど美しい』ドラ・トーザン だいわ文庫 読了日:2018.11.7

 『年をとることは成熟すること。わがままに生きる、自由に生きる、細かいことは気にしないのが若返りの秘訣。』という、ドラ・トーザンさんは、以前、NHKの『フランス語会話』に出演されていたので、ご記憶の方もいらっしゃるだろう。

 現在は、東京在住で、フランスと日本を行き来しながら新聞・雑誌への執筆や講演、テレビ・ラジオのコメンテーター、国際ジャーナリストとしてなど多方面で活躍されている。

 ドラ・トーザンさんの本は何冊か読み、この読書日記にも紹介していますが、成程と頷かされること、ああ、これは私も以前から思っていた事だと我が意を得たりと思う事があり、一読の価値ありだと思う。

 ドラ・トーザンの文章も、年を重ね、日本での生活が長くなり、フランスと日本を行き来する事で、より、日本人に対しての理解も深くなった上で、内から見た日本の良さも取り挙げつつも、外(フランス)から見た日本の此処はどうなんだろうという点について語る語り口、切り取り方が柔らかくなったように思い、とても読みやすく、素直に読み進められる。

 例えば、私も以前から『孤独』は、決して負のイメージを持っていなくて、人間看取られる云々はあるにせよ産まれる時も死ぬ時も一人であると思っており、一人の時間を味わい楽しみ持つ事が出来ない者が、二人で共に時間を共有し生きる事は出来ないのではないか、たとえ、夫婦や恋人、家族、友達が居たとしても、一日に1分でも自分ひとりになる時間は必要であり、その時間が有るからこそ、大切な人と共に安らかに柔らかに生きて行けると思っている。

 そして、ドラ・トーザンさんもまた、同じように『孤独』は、大切なもの。不幸でも負のイメージでもなく、心を緩めるために敢えて一人時間を作る事を意味していて、『孤独』は、決して寂しくもひとりぼっちという事ではないと言っていて、そうそうなのだ、それを解っていない人が日本にはまだまだ多いのだと、膝を打つ。

 全てフランス、パリジェンヌの生き方が最高で素敵だと言っているのではなく、パリジェンヌのこういう所は、客観的に見て素敵だし、こういう小さな事から生活に少しずつ取り入れたら、パリジェンヌだけでなく、日本の女性たちももっと素敵で、しなやかで、肩の力をストンと抜いた心地好い生き方が出来るのではないかしらという、フランス人が教える最高にHAPPYな年の重ね方が書かれていて、読み終わった後は、何だか楽しく前向きな気持ちになれる一冊。

文:麻美 雪