『星も見えない夜の中』


 星も見えない

 夜の中
 
 独り空を見上げ

 視えない時間を探す

 ゆつゆつと固まらない

 ゼリーのような傷口が

 痛むと知っていて

 星も無い夜に

 目を凝らす

 凍てつく冬の

 幻が

 今も胸を抉る

 表向きだけ

 忘れた振りで

 固まらない傷が

 血を流す

 ゼリーのような

 温い気休めが

 拭うまで

 泣き続ける

 思い出は

 時を止めた儘

 ぽつり

 私を

 星の見えない

 夜に遺す


詩:麻美 雪