子どもを甘やかすのと、厳しくするのとでは、どちらがいい?
アドラーの愛弟子のドライカースは、同じような質問を受けました。
「子どもの人格的成長にとって、許容度の高い家庭的環境の中で甘やかすのがいいか、それとも厳格な権威主義の環境で厳しく育てるのがいいのか?」
それに対して、ドラ―カースは、どのように答えたと思いますか?
こう答えました。
「あなたは、私に絞首刑がいいか、銃殺がいいかを尋ねているようなものです」
つまり、ドラ―カースは、甘やかすのも、権威主義的に厳しく子どもを扱うのも、手段は違うとしても、子供をスポイルしてしまう可能性を示しています。
では、甘やかすのと厳しく接するのと、どちらがより問題が多い?
野田俊作先生は、勇気づけの育児を仮に10点とした時に、権威主義的に厳しく接するのは、6点くらいはいくかな、甘やかす育児は0点かな、と話していました。
ちなみに、アドラーは子どもをダメにする接し方として、甘やかし、無視、子供を憎むことの3つをあげているそうです。
権威主義的育児についての言及はありませんが、とにかく子どもを甘やかすことは、多くの問題をはらんでいます。
その点について、「家族カウンセリングの技法」というアドラー心理学に基づいたカウンセリングの本は、こう述べています。
甘やかされた子どもは、欲求不満に耐えることが非常に苦手です。彼らは、欲しいものを今すぐ手に入れなければ気が済まないので、かんしゃくを起こしたり、麻薬に走ったり、性的行為や登校拒否などの行動をとって親を苦しめます。
そういう子どもは、根気強く仕事をすることが苦手です。努力して何か達成しようととすることに慣れていないからです。ですから甘やかされた子どもは学業不振になりやすいものです。
甘やかされた子どもは、普通の家庭には存在する「自然な秩序」が欠如した温室のような環境で成長します。そのため独立心がなく、義務を遂行しなければならない状況に出会うと、すぐにくじけてしまいます。
ここに書かれているような子に育って欲しいと思われる親御さんは、いらっしゃらないと思います。
しかし、子供を甘やかしてしまうと、結果として、ここに示されているような子にしてしまう可能性があるようです。
ちなみに、甘やかしには4つのタイプがあるとか。
①甘やかしすぎ
□ 子どもが何かを欲しがる時に、何でも与えてしまう。
②過許可
□ 何でも許してしまうこと。
ex. 子どもがカーテンで、ドレスを作りたいと言い出した時に、「子どもの想像力が大事」とそれを許してしまう。
③過支配
□ 読む本や友達まで、親が決定して支配する
④過保護
□ 「危ないから~しちゃいけません」と子どもの行動を制限
紹介した本には、甘やかしについて、上記のように4つに分類されていました。
現代社会において、生活が便利になったこと、社会全体が豊かになったこと、そして少子化の影響などで、どうしても子どもを甘やかしてしまう傾向は強くなっているのかもしれません。
先ほども述べましたが、子供を欲求不満に耐えられない子にしたいなんて、どの親御さんも思っていないはず。
だからこそ、子供を甘やかさないように、具体的にどう対処したらいいのか、まず、親御さんが学ぶ必要があるのかもしれません。