もし、お子さんに、バイオリンを習ってほしいと思ったら・・・
どうすれば、子どもにバイオリンに興味を持たせることができるでしょう?
いきなり、バイオリン教室に連れて行って、レッスンを始めたとしてもなかなかうまくいかないはず。
だって、こどもはバイオリンに興味を持ってないのですから!
では、どうすれば興味を持たせることができる?
バイオリン習得のためのメソッドの一つに、鈴木メソッドというものがあります。
鈴木メソッドは、日本で初めてバイオリンを作った鈴木政吉の子息で、いまの東京芸大の前身、東京音楽学校の校長も務めた鈴木鎮一氏が考えだしたメソッド。
鈴木メソッドは、脳科学にも合致したある方法で、子どもがバイオリンを弾いてみたいと思わせる面で成功を収めています。
それによって世界的にも有名な音楽家をたくさん輩出している。
では、どんな方法で、子どもにバイオリンに対する興味を持たせているのでしょう?
それは・・・
昔ながらの徒弟制度と同じような方法です。
例えば、家具職人になるためにある職人のもとに弟子入りした人がいるとします。
弟子として入門した者は、最初から道具を持って家具を作ることを許されることはないでしょう。
最初は、部屋の掃除や雑用に追われます。
そしてそれが、数年に及ぶことも!
しかし、その弟子は、師匠や先輩たちが、家具を作っているシーンをいつも目にすることになります。
すると・・・
道具を持って家具を作ってみたいと思いは、日ごとに強くなり・・・
ある時、師匠の許可が下りて、実際に道具を手にすることができるわけです。
そう言えば、家具職人の方がテレビに出ていて、その方法は「弟子を育てる上で最強の方法」というようなことを話していたのを覚えています。
いわゆる見て盗む方法ですね!
スズキメソッドも似たような方法をとるようです。
お母さんは、バイオリン教室に子供を連れて行きます。
そこではただ、少し年齢の上の子がバイオリンのレッスンを受けているシーンを見学するだけ。
それを何度か続けます。
それに加えて、お母さんに子供用のバイオリンが渡されて家で練習するように勧められます。
子供ではなく、お母さんが練習をするのです。
♪ギコギコギコギコ・・・♪
きっとひどい音だと思いますが、子供の前でお母さんはバイオリンの練習。
それを見ている子供は、教室で自分よりも年上の子が、そして家ではお母さんがバイオリンのレッスンをしている光景を目にしています。
それによって何が起こるかというと・・・
子供もバイオリンを触ってみたい、弾いてみたいと思うようになります。
そのような気持ちが高まったところで・・・
「レッスンをしてみる?」
と聞いてみる。
すると・・・
このような方法は、脳科学的にも効果が証明されているようです。
人やサルには、ミラー・ニューロンという神経細胞があって、他の人の行動を見ているだけで、脳の中で、相手と同じ部位の神経細胞が働くんだとか。
つまり、教室でバイオリンを弾いている他の子供たちを見ているだけで、脳の中では、実際にバイオリンを練習している子供と同じ神経細胞が、それを見ているだけの子供の中でも刺激される。
そのため、実際に楽器を持って練習を始めると思った以上にうまくできたりしてそれが自信につながったりするんだとか。
このように子供の興味を引き出すには、ちょっとした工夫が要ります。
それは、ミラー・ニューロン・システムを応用するといいようです。それは、見ているだけで、その運動がやりやすくなる脳のシステム。
応用範囲は、広範囲に及びます。
勉強もおなじです。親が勉強する姿勢を見せると・・・
利用しないなんて、もったいない!
「バカはなおせる」久保田 競著