その人は小学校の教師をしていました。仕事は楽しく大好きだったそうです。
1年後、2人の子がクラスに入ってくるまでは・・・
その2人は落第して、その人のクラスに入ってきました。その人は、その時のことをこう記しています。
この少年たちは、まるで小さなアナーキストのように振る舞って、うまくいっていた私のルールを根底から揺るがしました。
それによって、クラスはその子たちの影響を受けて、敵意に満ちるようになり、困惑したその人は教職を去ることとなります。
しかし、その人はその後、結婚し子どもを授かります。子どもとの生活は楽しく、まさにそれはその人が望んでいたものでした。
3人目の子どもが生まれるまでは・・・
3人目の男の子が生まれて、上の女の子がやきもちを焼くようになり、それにどう対処してたらいいか、その人は途方にくれました。
その時のことを、こう話しています。
私は、この小さな女の子がヤキモチをやいていることはわかっていたのですが、どう向き合ったらいいのかわかりませんでした。
幸せな笑いは今や絶え間ない大声と叫び声に替わり、私は、警察官になったかと思うと裁判官になったり看護師の役をしたり、そんなことを朝から夜遅くまでしていました。
その時に勧められて読んだ一冊の本。
しかし、受け入れるのに困難を覚えたようです。
その著書を読んでいて、「そのむかつくような新しいものの見方」を受け入れ難く思ったと述べています
でも、選択肢はありません。
しかし私には他に選択肢がありませんでした。子どもに対するやり方を変えるか、さもなけれ
ば精神病院に入るかの状態だったのです。
それほど追い詰められていたのですね。
だからでしょう、その人は、読んだことを試してみます。
すると・・・
それで私は、3人の子どもたちに対して、(その)方法をやり始めました。すると驚くほどうまくいったのです。
しかし、本を読んで試してみたところで、すべてがうまくいくわけがありません。
テニスをしたこともない人が、テニスの教則本を買って、実践したからと言って、テニスが上手くなるわけはありません。
そんな時に、その本の著者が、その人の住むところの近くで、セミナーを行うことになりました。
そして、その人は、そのセミナーに参加することしました。
しかし・・・
彼の最初の要求は私にとってショックでした。
全員自己紹介をしなければならなかったのです。地獄へ落ちたようでした。
なぜなら他の人達は、本を執筆していたり、教授や精神科クリニックの院長といったような、目立った学位や地位のある人達だったからです。
私は自分が取るに足りない人間のように思われ、しっぽを巻いて逃げ出したくなりました。
その人は、このように述べています。
でも、その人に自己紹介の番がまわってきて、「ただの主婦です」と自白すると・・・
本の著者は、次のように言ったそうです。
彼は私を指さして、他の受講者に言ったのです。
「このような人にこそ、まさにこのコースを受けて欲しいと私は望んでいたのです! 誰よりもまず、母親に教えることが必要なのです!」。
そのひと言で、その人は勇気をもらいます。
そして、続いてこう語っています。
一転して、私はこのすばらしいグループの一員なのだと感じました。私はまさにドライカースの優れた才能のひとつから恩恵を受けたのです。それは、自分は人々の間に所属しているのだ、
という感覚を増幅する才能です。
その本の著者とは、アドラーの弟子であったドラ―カース。
そして33歳の普通の主婦がイボンヌ・シュラーさん。
イボンヌさんのことは直接知らないのですが、野田先生の講座で何度かお名前はお聞きしています。
そして本が「勇気づけて躾ける―子どもを自立させる子育ての原理と方法
」
お勧めの本です。でも、そのまま実践するとちょっとまずいかも!
この話しの詳細は、日本アドラー心理学会のこのpdfファイル をご覧ください。