高校生の時に、空手の通信講座を受講したことがあります。
空手の通信講座?
いま思うととても無意味な選択をしたと思います。
なぜなら・・・
私は中学の時に「空手バカ一代」という漫画に魅了されました。
それで自分もその主人公のように強くなりたいと思って、ぜひとも空手を学びたいと思ったのです。
しかし、道場が近くにありません。
そのためとりあえず本屋さんで、空手の指導書を買い、見よう、見まねで空手の練習をはじめました。
そして家のすぐそばに生えていた桐の木に藁をまいて、そこをめがけて、突きや蹴りを入れます。
そんな練習を一人でしていたのですが、その漫画の主人公の方の道場で(実在の方でした)、通信講座を始めるということを知りました。
そしてお小遣いをためて、その講座を受講し始めたのです。
そして、何となく強くなったような気がしていました。
でも・・・
一人練習で強くなっているように錯覚していたのですが、それが幻想であることに気づかされる時が来ます。
大学に入って、近くに通信講座と同じ系列の道場があることを知って入門することになりました。
入門して初めての練習日。
突きと蹴りの基本練習の後、はじめて組手に取り組みます。
その時に、自信はもろくも崩れ去ります。
私の放つ突きや蹴りは、全く通用しない!
緑帯や茶帯をしている人が、強いこと!
そして黒帯の方とも対戦しましたが、まるで大人と子供。
私が繰り出す突きや蹴りは簡単にかわされ、そのうち黒帯の方が放った一発の突きが、私のみぞおちに入り、息ができなくなり・・・
「つ、つよい!」
やはり、実践経験がものを言うのですね。
さて、きのうは、水戸パセージの7回目でした。
パセージを何かにたとえるとしたら、人間関係の道場。
本やテキストで読んだだけではなかなか身につきませんが、道場に通うと強くなる。
なぜなら・・・
パセージのよい点は、参加者の一人に事例を出していただいて、それを全員で討議していくことだと思います。
出てきた事例を、リーダーさんがさらに詳しく聞くのですが、その時に、お母さんの行動や発言と、その時の子どもの発言・行動をホワイトボードに書きとっていきます。
そして、その時の感情や、度合い、体の感じなどについても明確にしていく。
それをもとに、全員でロープレなどをしつつ、考えていくわけです。
その時に指針となるのは、行動面、心理面の目標。
つまり、それを指針として次のような質問が投げかけられます。
その行動は、子どもが自立して、社会と調和して暮らすという目標にかなっていますか?
それによって、子どもは、「私は能力がある」、「人々は仲間だ」と思えるでしょうか?
このような質問を通して、行動の可否を自問する機会が与えられます。
そのようにして、子どもに対する行動を、点検することができるわけです。
それに加えて、参加者が、ロープレでその事例のお母さんの発言を、子どもの立場になって聞いてみたりします。
すると「悲しかった」とか「怖かった」などの率直な感想が出てきて、自分の発言や行動を見つめ直す機会ともなります。
おそらく、本に書いてあることを読んだだけではわからないことを、パセージでは多面的に知ることができます。
そしてなんといっても、家に帰って、いろいろ試してみる。(これが最も重要!)
それをまた、次のパセージで事例として出して検討したり、他の人の事例から学んだり。
その繰り返しで、お母さんが、どんどん鍛えられ、親子関係もさらに良くなっていくのだと思います。
パセージは、ある意味、人間関係の道場!
人間関係の黒帯を目指して、技を磨いていきたいものです。