人の「困ったな」という行動にも目的がある。
以前、勇気づけ勉強会を行った時に、そんなことを考えました。
例えば、暴走族のお兄さんたちが爆音を響かせて走っていることがありますが、はたから見ると迷惑でしかありません。
私も若かりし頃は、彼らが通り過ぎた後、「うるさいぞ~」と叫んだり、苦情の電話を警察にかけたりしたことがあります。
ただ、よく考えてみると彼らの行動の背後には、意図というか目的があるわけです。
きっと、注目を浴びたいとか、目立って認められたいとか!
そんな目的が!
それを満たすために不適切な行動ではあるのですが、爆音を立てつつ、彼らは道路を疾駆しているのだろうと推測します。
本来であれば、学校で成績でもよければ、その部分で注目を得られるので欲求が満たされるのでしょうが、そうでないと・・・
日本の学校のあり方というか、社会のあり方も問題なんだと思います!
人を成績だけで判断してしまい、成績以外の判断基準ってないですよね。
例えばドイツなどでは、10才になると進路を決めないといけないそうなんです。
職人コース、中間管理職コース、エリートコースのうちから選ぶとか。
それは得意分野で決めるんだそうです。
成績のいい子は、エリートコース。
勉強が得意な子は、その道に進むのでしょう。
勉強が得意でない子は、自分の特性にあわせて中間管理職や職人コースを選ぶ。
だから職人コースに行ったから落ちこぼれといった感覚はないようです。
勉強は苦手だけど、○○は得意。
だから私は○○を学ぶ。
それに対して、日本では成績が悪いと落ちこぼれのレッテルを貼られてしまう。
下手をすると、それによって徹底的に劣等感を持つことにもなりかねません。
そんなレッテルを貼られてしまったら、やる気を失ったとしても不思議ではありませんね。
そんな中で、ある子たちは、注目を得るために暴走をし・・・
その背後にある目的は、認められたい、注目されたいという意図があって、あのような暴走行為をするのだろうと思います。
そう考えると彼らに対する見方も変わってきませんか?
なんとなく意図自体は理解できるような・・・
それに加えて、そんな目的があるとしたら、別の面で注目が得られる道や選択肢を提供する可能性も広がります。
俳優さんで、元暴走族をされていたという方がいらっしゃいますが、きっと何かのきっかけで、その強い思いを良い方向に向けさせてくれる人との出会いがあったのかもしれませんね。
それはいいとして・・・
子供の困った行動の背後には、お母さんからの注目を得たいという意図があるはずです。
それを知って意識していると、受け止め方も変わるでしょうし、対処の仕方も変わってきますね。
子どもが困った行動をする時、
その行動に注目し、お母さんが反応すると、それは子どもが欲しくてたまらない注目を与えることになり、その行動が続く可能性があります。
そんな時は、お母さんができるのは、口チャック。
そこに、なにも注目を与えないようにします。
しかし、子どもは注目を欲しいわけですね。
だからその問題行動ではなく、当たり前の行動、例えば、朝一人で起きてくるなどの行動に注目をして、感謝を伝えます。
「お母さんが起こさないでも、一人で起きてきてくれて助かるわ。ありがとう」
すると注目された行動が強化されて、適切な行動が増えてくるというわけです。
このように、子どもの行動の背後にある意図や目的が何かを考えると、それに対する見かたも変わるでしょうし、問題解決にも近くなります。
そのあたりの知識についてもっとお知りになりたい方は、野田先生の次の本がお薦めです。
「続アドラー心理学トーキングセミナー」
とても読みやすく、アドラー心理学の基本的な知識がえられます。