●「その行動の目的は何?」と考えると、子どもの行動の意味がわかる! | ◆「生まれてきてよかった」そんな実感を持てる子に育てるヒント!◆

◆「生まれてきてよかった」そんな実感を持てる子に育てるヒント!◆

勉強だけできても意味はない!

学習のコツや勉強する意味を一緒に考えると共に

勇気づけでお子さんの健全な心も育ててあげませんか?

小6のかずまくんは、授業が始まると、ノートと教科書の替わりにあるものを取り出しました。


それは?


折り畳み式のナイフです。


そして、左手を机の上に乗せ、指を広げて、広げた指の間をナイフでリズミカルに刺していきます。


よく鉛筆で同じことをやる子はいるかもしれませんね。


でも、この場合、ナイフです。


その危なっかしい光景を見て、先生は言いました。


「それ、危ないからしまいなさい」


すると、かずまくんは、ナイフの刃をゆらゆら揺らしながら、上目使いにすごんだんだそうです。


そして言いました。


「先生、教師は子どもを殴っちゃいけないんですよね」


当然のことながら、先生はナイフを預かることになります。


しかし、かずまくんは、次にペンチ、鉛筆の先に縫い針をくくりつけたものなど、いわゆる「凶器」を持って来ては携帯し続けたんだそうです。


さて、このような状況で、もし、あなたが先生であったとすると、どんな対応をとるでしょう?


20代の私だったら、きっと、「何だその態度は?」と怒鳴りまわしていたことでしょう。


そして、きっと、かずまくんとの関係は、さらに悪くなって、もしかすると切りつけられるなんてことになっていたかもしれません。


このような場合、冷静に対応することが重要です。


問題を解決するためには、決してかずまくんと険悪な関係になってはいけません。


教師が、怒鳴ったりすることになるのと、不適切な行動に対して注目を与えることになってしまいます。


ちなみに、アドラー心理学では、このような場合、子どもの行動の目的を考えます。


「かずまくんが、学校に凶器を持ってくる目的は?」


何だと思いますか?


実は、この事例、ある本に載せられていた事例です。


その本とは「困った児童への言葉かけと指導」です。


著者は上越教育大学の教員である赤坂真二さん。


赤坂さんは、小学校の教師をする中で、アドラー心理学に出会い、その考えをベースに学級経営を進めてこられました。


そして難しいクラスを立て直し、困った子ども達をより良い方向に指導してきた方です。


さて、話を戻しますが、赤坂さんは、かずまくんとの関係を良くする努力をし、それによって彼もいろいろなことを話してくれるようになったようです。


そして、彼は携帯し続ける「凶器」の意味を語ってくれました。


その部分は、本から引用させていただきます。


私との関係がよくなると、かずまさんはいろいろなことを話してくれました。なぜ、ナイフを持つようになったのか。

彼は、中学年の頃、いじめられっ子だったそうです。それで「このままでは、俺はだめになってしまう」と思い、身を守るために小型のナイフを携帯するようになりました。

ある日、それを学校で見せたら、「おお、すげえっ!」と一躍注目をあびる存在になりました。これまで、バカにされ、いじめられていた自分が、ナイフ一つで一目置かれる存在になったのです。つまり、ナイフを持つことで、自分を認めさせることができたわけです。で

すから、彼はやっとできた自分の地位を守るために、私が取り上げても取り上げても、繰り返し「凶器」を持ち込んだわけです。

(中略)

その目的は、実に純粋です。集団の中で、自分の地位を守るため必死だったのです。つまり、自分の居場所を確保しようとしていたと考えることができます。

(中略)

子どもの教室における目的を「自分の居場所を確保すること」ととらえると、子供の行動が実によく理解できます。


かずまくんは、ただ、クラスの中で自分の居場所を作りたかった。


だから「凶器」を持ってきていたのです。


そこを理解できると、困った子に対してレッテルを張ったり、強硬な姿勢で子どもを追い詰めてしまうことを避けることができるに違いありません。


このように子どもの行動の目的を意識すると、子供の行動の意味がわかります


それによって対処の仕方も変わってくることでしょう。


居場所を得たいと思っているのですから、ナイフを持ってこなくても居場所を作れるような状況を作るお手伝いをすればいいわけです。


まず、その際に信頼関係が必須の条件となると思いますが、それと共にアドラー心理学の基本的な考えを使って対処していくことで、子どもはより良い方向に進んでいくことができるはず。


そのプロセスは、家庭においても同じだろうと思います。


できるだけ多くの方がアドラー心理学を学ばれることを願っています。


9月1日(土)に勉強会を行います。

場所は、水戸市内の県総合福祉会館4F 小会議室

費用は、1000縁です。