昨夜、9時から「サマーレスキュー」というドラマを見ました。それは山小屋に併設された診療所での出来事を扱った物語です。
最近は、ほとんどドラマは見なかったのですが、これはとっても気になりました。
なぜかというと・・・
大学1年の時に、山小屋でアルバイトをしたことがあるからです。働いた山小屋は北アルプスの雲ノ平山荘。標高2650メートルのところにある山小屋でした。
高校時代に生物部の行事として行った北アルプスの白馬岳への山行の思い出が忘れられずに、大学に行ったら、また山に行くと決心していた私は、入学後、アルバイトをして少しばかりのお金を貯めます。
そして6月くらいに書店で山関係の雑誌を買い、アルバイト募集の求人を見つけたのです。
そしてすぐに電話をして採用ということになり、7月20日前後に向かったのが、三俣山荘という山小屋でした。経営者の方は、写真家で、3つの山荘を経営していたかたです。確か伊藤さんという方でした。
リュックを購入し、準備を整え、水戸を出発したのは、到着予定日の前々日の朝。
電車を乗り継いで岐阜県の高山まで行き、そこからバスで新穂高という登山口のあるところまで行きました。もちろん、そこからは歩き。
そこで偶然、一歳年上の福井大学に通っているという方とお会いして、山行をご一緒させていただきました。
最初は、林道を歩いていたので、何でもなかったのですが、進むにしたがって傾斜が急になってきて・・・
あまりのキツさに、なんど、「もう、帰ろう」と思ったことか。
しかし、片道のお金しかもっていなかった私には、登る以外に選択肢は残されていませんでした。アルバイトをしっかり終えて、給料をもらわないと家に帰れなかったのです。
「登る以外にない」。そう決意して、登りました。
とはいえ、あまりのきつさに何度、帰りたいと思ったことか!
しかし、雷鳥との出会いや、コマクサが健気に咲き誇っている姿を見て、なんども励まされました。
そして、その日の目的地、双六小屋に着いたのは、夕方でした。
そこで見た夕映えに赤く染まる槍ヶ岳は、今でも忘れることはできません。
それを見て、「やっぱり来てよかった」と強く思いました。
その時に、こんな価値観を形成したような気がします。
「人生は苦労や困難が多ければ多いほど、逆に目標を達成したときの喜びは増す!」
翌日、朝の清澄な空気のなか、目的地の三俣山荘に向かい、昼前に着きました。
もちろん私はお客さんではありません。すぐに仕事を仰せつかりました。
昼食の用意のため、キャベツとなすを切ることを言われたのです。
それまで私は、包丁を握るなんてことは、ほとんどありませんでした。
「こうやるんだよ!」
と教えてもらいながら、キャベツを切り、なすを切っていると・・・
やってしまったのです。
包丁で親指をざっくりと・・・
「ヤバい」
血があふれてきました。あわててティッシュで血を止め・・・
でも、そこには、なんと富山大学の診療所があり、すぐに手当てをしていただくことができたのでした。何と、ありがたかったことか!
「医者ってカッコイイ」って思いました。
さて、私はこんな経験をしました。そのためでしょう、私は、昨日のドラマ「サマーレスキュー」は見逃せませんでした。
正直言って、突っ込みどころ満載のドラマでしたが、若かりしあの頃の思い出に浸るのには十分。
「また、山に行きたい」、そう思いました。
ちなみに、私は、三俣山荘に着いた次の日に、そこから2,3時間離れたところにある雲ノ平山荘に行くように命ぜられ、そちらに向かいます。
そこでの経験は、生涯、忘れることはないでしょう。
ちなみに、その後、私自身は怪我などはしませんでしたが、足を骨折してヘリで地上へ運ばれた方を2人くらい見送ったこともあります。(ドラマでもヘリで搬送シーンが!)
山登りには危険が伴います。怪我をして、ヘリで搬送されるのに当時で25万円くらいかかっていました。
しかし、山には、空気の清澄さ、自然の美しさ、そして厳しさ、そして夜空の美しさなど、おそらく体験した人でないとわからない素晴らしさがあります。
ぜひとも子どもたちに、その素晴らしさを体験してもらいたいなと思ったのと懐かしさに動かされて、こんな記事を書こうと思いました。
雲ノ平山荘って、こんなところ。
http://kumonodaira.net/kumonodaira.html