一人の非常に大きな黒人が、演壇上のその人を指差しながら、通路を演壇に向かって歩みよります。
その時、歩み寄られたその人は何を思ったのでしょう?
相手は大きな黒人。しかも自分を指さしながら近づいてくる。
心臓の高鳴りが、ピークを迎える。(たかどうかはわかりませんが)
演壇上のその人とは?
アルフレッド・アドラー。
ご存知の通り、アドラー心理学の基礎を作った人物ですね。
時はアメリカで行われた児童の発達についての会議で行われた講演の後。
講演が終わって、質疑応答の時間の時のことでした。
その黒人の男性は、アドラーに向けてこう言い放ちました。
「教えてください。アドラー先生。小さな子どもを育てるときに忘れてはならない3つの最も大切なことはなんでしょう?」
その質問に対して。アドラーは、どのように答えたと思いますか?
このエピソードは、教育心理学者のジェームズ・ヘミングという方が、「アドラーの思い出」という回想集の中で書いていたものです。
ここからは、ヘミングの記述をそのまま引用させていただきます。
アドラーはすぐに答えました。
「第一には、子どもを勇気づけることです」。
「わかりました、アドラー先生。二番目はなんですか?」
アドラーは答えました。
「第二には、子どもが人生の有益な側面で生きるよう援助することです」。
男はその答えに喜び、アドラーを指していた指を空中に突き上げ、なおも進みました。そのときには、もう、演壇のすぐそばまで来ていて、大きな体は塔のようにそびえたっていました。
再び大声で男は言いました。
「それで、三番目は、アドラー先生? 小さな子を育てる上で忘れてはいけない最も大事なことはなんですか?」
アドラーはまごついて、ぴったりの原則を心の中で探しました。男は、まだかまだかと期待をみなぎらせていました。
いかがでしょう?
大男が自分のいる演壇に近づいてきて、答えを迫るわけです。
そんな状況であることを考えるとアドラーがまごついたというのも想像がつきますね。
さて、ここでアドラーは、どのように答えたと思いますか?
続きを紹介しますね。
そしてアドラーは言いました。
「第三番目に最も重要なこと・・・・・第三番目に最も重要なことは・・・・・今あげた2つのことを決して忘れないことです」。
3番目の答えはこのようなものでした。
きっとアドラーは、迫りくる男の迫力に圧倒されたのかもしれませんね。
もう少し、男が普通に質問をしたら、3番目の答えも違っていたかもしれません。
ちょっと残念!
それはいいとして、
1番目の、「子どもを勇気づけること」、そして2番目の「子どもが人生の有益な側面で生きるよう援助すること」という答え、なるほどという答えですね。
そして、勇気づけは当然のこととして、この2番目の「子どもが人生の有益な側面で生きられるように援助すること」ってとっても重要だと思いました。
なぜ、そう思ったかというと、どんなに優秀であったとしても、人生の有益な側面で生きられないとしたら、それは子どもにとっても社会にとっても、残念なことだからです。
やはり、子どもくんたちが、成長したら、社会に有意義な仕方でかかわって欲しいと思います。
その点で、日曜日の記事で記したように、志の高い育児を意識する必要があるのかもしれません。
ちなみに、この記事は、ある有料の音声を文字におとして記事にした関係で、著作権の問題を危惧し、アメンバー限定記事にさせていただきました。
それは、よりよい社会をつくっていくために、志の高い育児、すなわち、どんな方向性を持って子どもを育てたらいいのか、あの人の講演音声を文章に落としたものを記事にしたものです。
そして、ある方から記事にたいしてコメントをいただいたのですが・・・
コメントをして下さった方の思いがあふれていて、心が震えました。
できれば多くの方に、そのコメントを読んでいただけたらと思います。
でも、アメンバー限定なんでしたね!