コンプリメントってすごいんです。
なぜなら、コンプリメントをすると、子どもが元気になります。
また、あるクラスでは、先生がコンプリメントを使うことによって、クラスの一体感が高まり、とっても居心地のいい雰囲気が生まれたとか。
また、ギスギスした環境のある職場でも、コンプリメントによって、お互いが承認されていると感じられるようになり、職場の連帯感や一体感を高まったんだそうです。
コンプリメント、恐るべしですね。
では、それが何なのかを説明するために、以前に参加した子育て関係のコーチング講座で行われたワークをお伝えします。(以前にも紹介したことがあります)
どんなワークかというと?
しつけを体験するということで、「猿と調教師」というワークで、参加者の中から、猿役の人と調教師役の人を選びます。
猿役の人は、少しの間、席を外します。
その間に調教師と他の参加者は、猿役に人に行ってほしい行動(ターゲット行動)を決めます。
例えば、ホワイトボードの字を消すとか、椅子の上に立つとか。
そして、ターゲット行動が決まったら、猿役の人が入室して、ターゲット行動が何なのか、実際に行動してそれを当てるわけです。
まず、一回目。
ターゲット行動が、「机の上のペンで自分の名前を書く」だとします。
猿が、ターゲット行動から離れると調教師と参加者は「ダメ」と言います。
そして、ターゲット行動から離れていくと「ダメ」の口調をだんだん強くする。
「ダメ」、「ダメ」、「ダメ」。
逆に、調教師は、猿がターゲット行動に近づいても何も言いません。そして、その行動がわかったら終わり。
2回目は、別のターゲット行動を考えて再度、挑戦するのですが、今度は、ターゲット行動に近づくと拍手をします。
ターゲット行動に近づけば、近づくほど拍手の強さは増していきます。
「パチ」「パチパチ」「パチパチパチパチ」
このワークに猿役で参加した一人のお母さんが言っていたことが今でも印象に残っています。
「ダメ、ダメと言われていて悲しくなってきました」
それに対して、
「拍手を受けるといろいろ試したくなる」
このワーク、とってもおもしろかったので、勇気づけ勉強会などでも行うようにしています。5,6人が集まったところで行うとおもしろいですよ。
さて、話を戻して、コンプリメントの意味ですが、「気がついた良いところを相手にフィードバックすること」だそうです。
コンプリメントは、ある意味、猿に対する拍手のようなものかもしれません。
ターゲット行動に近づいた猿は、拍手を受けます。それは、猿役のお母さんを「いろいろ試したく」させましたね。
同様にコンプリメント、つまり、相手の良いところをフィードバックすると良い関係が生まれ、問題を抱えている人をも行動に駆り立て、変化をおこします。
その点について、ある本は、このように述べていました。
コンプリメント技法は欠点を指摘する教育よりも遠回りに感じられますが、実は驚くなかれ。仕事に誠意が見られない同僚でも、高圧的な同僚にも、問題をおこしがちなモンスターなペアレントや患者さんにも、良い変化が劇的に生じます。
もちろん子どもも変化します!
ただ、その本の著者も書いていますが、
相手の欠点、直した方が良い点ばかり目につき、それを改善させるために何とかならないものなのかとおもえてならなくなってしまうのです。
でも、それは人間関係を壊して、やる気を失わせることになりかねません。
だからこそ、あえて良い点を見つけてフィードバックする必要があるもかもしれません。
実際に、冒頭でも述べましたが、ある病院では、看護士が自分の目標を少しでも達成できたら、ミーティングの席で拍手するだけ、休み時間にお茶で乾杯するだけで、雰囲気が驚くほど変わったんだそうです。
そんなことでクラスや職場の雰囲気が変わったらいいと思いませんか?
人は、子どもであろうと大人であろうと承認が必要なんです。
コンプリメント、アドラー心理学で言うところの、勇気づけは、魔法の粉。それを周りに振りまいていると、何かが変わっていくと思います。しかも劇的に?
参考図書 「ブリーフセラピー 対人トラブル即解決力」
生田倫子著