ある本にこんなことが書かれていました。
アメリカでは11月に感謝祭というお祭りがあって、その際に楕円形の大きなハムを焼く習慣があるんだそうです。
ある家庭では、お母さんが必ずそのハムの両端を切ってオーブンに入れるので、ある人が「なぜ、ハムの両端を切るの?」と聞いたそうです。
すると、
「わからないわ。おばあちゃんに聞いて!」
今度は、おばあちゃんに同じことを聞くと、
「私も母に教わったことをやっているだけだから、どうして切るのか分からないわ」
そこで、ひいおばあちゃんにそれを尋ねると、
「昔はオーブンのサイズが小さくて両端を切らないと入らなかったんだよ」
このように最初は理由があったものでも、代々伝わるうちに自動的に受け継がれてしまうことってよくあると思います。
それは、親子関係にもあてはまりますね。
その本には、こう述べられています。
トラウマもまさにこれと同じ。ある子どもが、蹴ったり、叩いたり、「ばかやろう!」と怒鳴りつけられるような厳しいしつけの中で育てられたとしたら、自分の子にも同じ「しつけ」を、疑いひとつもたずに「当然のこと」としてするでしょう。そのやり方しかわからないから、そうせざるをえないのです。
もしかすると、そのために子どもの対応の仕方について苦慮しているという方は多いかもしれません。
そして今でもお母さんのことが許せない、関係がぎくしゃくしている、そう感じておられる方もいらっしゃるかもしれませんね。
そんな方のために、その本は書かれました。
本のタイトルは、これ。
- 母の呪縛から解放される方法/Dr.タツコ・マーティン
- ¥1,365
- Amazon.co.jp
この本はあるブログで紹介されていたのですが、カウンセリングを学ぶ者として、「これは、読んでおかないと!」と思って、アマゾンで即、注文し、届いたその日にあっという間に読んでしまいました。
とても読みやすい本です。
なぜ、読みやすいかというと、本の構成が工夫されていること、タイトルや副題が、濃いめのピンクで書かれているという理由もありそうな気がします。
もちろん内容も、「経験豊富」なカウンセラーが書いたということがすぐにわかります。
例えば、39歳独身女性が、一度も恋愛をできない理由とか、父親から性的虐待を受けていたにもかかわらず、お母さんからそれを見て見ぬふりをされた女性の例など数多くの事例が書かれています。
それと秀逸なのが・・・
たくさんの事例と共に、お母さんのタイプ別に娘に及ぼす影響とその対処法が示されている。
ここでお母さんのタイプを挙げてみると・・・
①コントロールマザー
②被害者メンタリティマザー
③完璧主義マザー
④オールドファッションマザー
⑤劣等感マザー
⑥建て前マザー
⑦欲求不満マザー
⑧未熟マザー
⑨依存症マザー
⑩虐待マザー
これらのお母さんたちの特徴と娘への接し方、そして口癖が書かれていて!
そして、そんなお母さんに育てられた娘の特徴、そして具体的な事例も。
これをお読みになると「そう、そう」とうなずく方もいらっしゃると思います。
それに加えて、本のタイトルが示すように、そんなお母さんの呪縛から解放されるための具体的な方法も示されている!
ただ、すぐに効くというのではなく、3か月は要するらしい。
何十年もかけて培われたものを改善するには、どうしても時間がかかるんですね。
さて、お母さんとの関係で悩む女性がお読みになるととっても参考になると思いますが、そんなお母さんも、実はそのお母さんから受けたトラウマを抱えていたりします。
お母さんも深い傷を抱えていたからこそ、知らず知らずに娘を傷つけてしまう。
冒頭のハムの両端を切ってオーブンに入れることが自動的に受け継がれてきたのと同じように、子どもの扱いに関しても、それは受け継がれて、連鎖してしまうわけです。
その連鎖を断ち切るという意味で、この本は、役に立つでしょう。
お母さんに対して負の感情がある方がお読みになると、何か解決の糸口が見つかるかもしれません。
そして子供との関わり方も変わるかもしれません。