[感動するほど合格する]
私は中学受験というものに否定的な考えを持っています。
あまりに早い段階に塾に入って勉強してしまうとパターン練習に慣らされてしまい、なぜ、そうなるのかを考えなくなってしまう可能性が高いようです。
しかも進学塾の先生の間には、小4以下に塾に入塾する子は、高学年になって伸び悩む傾向があることが共通認識としてあるとか。
小6くらいになって子供がどうしても受験したいというなら、それも良しとする。
しかし、早い段階から塾に通わせるのは、どういうものか?(あくまで私の意見です)
とはいえ、もし、受験するとしたら合格するに越したことはないですね。
そのためのキーワードが感動なんだそうです。
いつも紹介するメルマガ「子育てサプリ」の発行者、木下晴弘さんは、日頃の授業中から感動を子供たちの中に起こして、やる気にさせていたそうです。
感動はプロデュースできます。
「勉強しなさい」というより、感動をどうつくるか考えた方が子供のやる気を育てるのに役立つに違いありません。
その点で、いつもご紹介しているメルマガ「子育てサプリ」の木下晴弘さんの著書からこんな話をご紹介します。
==========ここから
感動ということについて、 私は塾生活の最後の何年かで不思議なことを発見した。
子どもを入試の直前に感動させると合格率が上がるのである。
なぜだかはわからない。
数も多くはないのでどこまで厳密な観察であるか、確かなことは言いにくいのだが、そういう傾向があるのは核心している。
感動させるといっても特別なことをしたわけではない。
最後の1年を必死に頑張ってきた受験生には私たち講師も熱い思い入れがある。
当日、入試の会場で私は子どもたちを一室に集め最後の訴えかけをする。
本当に受かってほしくて、心から言うのである。
「今日は素晴らしい舞台が用意されたね。ここまでくれば今まで勉強してきたことを書いて出すだけだ。その結果はダメでもいい。別にいいじゃないか。頑張ってきただけで素晴らしいんだ」
頭の片隅には、頑張った子と同時に頑張っていない子の姿もよぎった。
けれども、私たち講師が見て頑張っていない子というのは、自分自身でも頑張っていないということを痛いほど感じている。
だから、自ら頑張ったと思わせないと戦う前から負けてしまう。
とにかくもうここまできたら、自分のやってきたことに自信を持ち、力をすべて発揮してもらうしかないのである。
「もうここにいること自体が大変なことや。宿題をサボったことも確かにあるやろ。しかしそれでもこの会場にやって来て、ここに座っている。授業を受けたということは勉強していたということだよな。これをほかの人たちはなかなかできないんだ」
そんなことはない。
できている生徒はたくさんいる。
だけどそう言うのである。
「ただな、これだけ用意された舞台、君たちの力だけでできたことかな。だれかの力もあるやろ。ほかに力を借りたやろ?」
すると「お父さん、お母さん」という声が上がる。
中学受験では親がついてきて会場のなかにいる。
そこで私は言う。
「そうやな。じゃあ今から入試会場に行くけど、その前に一分間だけお父さん、お母さんのところに行ってお礼を述べておいで。ありがとう、頑張ってくるからね。そう一言言えば結果は問題じゃない」
すると子どもたちはパーッと散って
「今までありがとう」と伝える。
そんなことをされたらグッときて、親たちは思わず泣く。
親の涙を見て泣く子どももいて、みな感動に震えているのがよくわかる。
私は「頑張れ。存分に闘ってこい」と熱い拍手を送り、みなを出陣させるのである。
するとどうだろう。
合格するか落ちるか半々といった線上の子どもがみな見事に合格するのだ。
その理由は私にはわからない。
ひとつ言えるとすればやはり感動の力がどこかで大きく働いているということではないかと思っている。
=============ここまで!
「ココロでわかると必ず人は伸びる」
木下晴弘著 総合法令出版より