高血圧の問題を持つある女性は医師からどんなに脅されても薬を定期的に飲むことはありませんでした。
そして・・・
これが子供の問題とどう関係があるのと思いますよね!
でも、関係があるんですよ。もしかすると子供をやる気にさせるには、どうしたらよいのかに関する洞察を得ることができるかもしれません。
もしよろしかったら読み進めてください!
さて、実際に処方通り薬を飲まなかったその女性は、健康上の問題を抱えました。
失神、鼓動の低下、胸の痛み、緊急治療室への入院などなど。
しかし、数年後、甥が彼女に会いました。すると彼女はとても元気そう。しかも処方されたとおりに薬を飲んでいました。そのため比較的安定した状態を保っていたのです。
何がそんな違いをもたらしたのでしょう?
1つの理由は、彼女が医者を変えたことです。
以前の医者は、薬を飲むことに関して、「もしちゃんと飲まないと大変なことになる」と脅して、厳しく注意をしました。
それに対して、今度の医者は、薬に関して彼女と長時間話し合い、彼女にいつ薬を飲めばよいか尋ねた。彼女は夜寝る前だったら、薬を忘れないで飲むことができることを話し、実際に、それが習慣になったわけです。そのために彼女は健康上の問題が低減し、今では比較的健康な毎日を送っているというのです。
この話で特質すべきは、後の医者が彼女に選択の機会を与えたということです。
医者という立場であれば、患者さんに責任もあるので、あれこれ指示命令することもあるはず。でもその医師はそうしませんでした。
何度か紹介しているエドワード・デシはこの点で次のように述べています。
選択する機会を与えることによって、この女性が自分の権限を感じ、責任感が芽生えた点である。選択する機会の提供が彼女の自律性を支え、彼女の内発的な動機を高めたのである。
人は上から目線で言われると聞けなかったり、反発したりする傾向があるかもしれません。
しかし、きっちりと「自分がどうしたいか」を聞いてもらい、自分で答えられるように導いてもらえると自ら出した答えに自ら従うという傾向がありそうです。
ここでデシの実験について言及しておきます。
こんな実験をしました。
1つのグループには、パズルを好きに選ばせて、実験に臨ませます。
それに対してもう一つのグループには、先のグループの物が選んだパズルを解かせる。
結果はどうなると思いますか?
その結果についてデシは、このように述べています。
そんな単純な選択でも、その機会が与えられた被験者は、それが与えられなかった被験者に比べて、その後の自由な時間をより多くパズルに費やし、パズルを解くことが好きだと答えたのである。このようなちょっとした選択の機会でさえも、経験を違ったものにして内発的動機づけを高めたのである。
選択の機会が与えれてる、られないによって、おおきな違いを生み出すのです。
そしてこのようにも述べています。
他者に対して権力を持つ立場にいる人は、どのようにしたらより多くの選択を提供できるかについて検討する必要がある。
もし、教師や親など権力?を持つ立場の人が、この事実を理解していて、子どもに対して選択の機会を提供するなら、子供は内発的動機に促され自発的に行動することでしょう。
かえってお母さんが「こうしなさい」と言ってもその思いに反して反抗的な態度をとることがあるかもしれません。
そのような指示命令は、子どもの反発を生むだけだったりするからです。
でもお母さんが子供に対して選択の機会を与えると・・・
子供は自発的に自ら宿題をこなすなんてことがあり得る!
指示命令で嫌々ながら勉強するのと自分で選択して自ら勉強する。
どちらが効果的に学ぶことができるでしょう?
きっと・・・・・
だからこそ、子どもに選択をしてもらえるような取り組みが必要なのかもしれませんね。
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参考文書
- 人を伸ばす力―内発と自律のすすめ/エドワード・L. デシ
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