それは、誰の問題? 今回は課題の分離について考えます。
課題の分離? 何だろうと思ったかもしれません。
これを意識しておくと、子どもに対してマイナスの影響を及ぼす過保護・過干渉を避ける上で新たな視点が得られるかもしれません。
まず、この話をするにあたって、アドラー心理学が勧める親子関係は対等の関係であるということを前提に話を進めます。
親と子は対等の関係です。
さて、早速ですが、もし、お子さんが、お母さんに対してこう言ったとします。
「お母さんのお友達の○○さん、ちょっとおしゃべりだから、お付き合いはやめて、もっと品のある人と付き合った方がいいよ」
どう感じるでしょう?
「子どもが親の交友関係に口出しするのはおかしい。この子はなんてことを言うのだろう!」と思ったかもしれません。
多分、「子どもが親に対してそのように言うのは当然」と思った方はいませんよね。
かえって「あなたにそんなこと言われる筋合いはないわ」と思ったはず。
では、逆の立場に立って考えてみましょう。
子どものお友達がお母さんから見て問題があるように見える。
そのためお母さんは子どもに言います。
「○○のお友達の□□ちゃん、あの子は評判も悪いし、成績も良くないそうじゃない。だからあんまりお付き合いしないでちょうだい!」
もしこんなことを言ったとすると・・・お子さんは、どう感じるでしょう?
冒頭にも述べましたが、親と子は対等な関係とアドラー心理学ではとらえます。
それを踏まえて上記の事柄を考えると、親は子どもの交友関係をとやかく言うのはいいけれども、子どもが言うのはダメというのは、違いますね。
親にしろ子にしろ、自分が問題を感じていないのに、自分の交友関係をとやかく言われるのは嫌なものです。
その点で、アドラー心理学では、課題の分離と言って、その問題は誰の問題かを確認することを勧めています。
例えば、子どもの交友関係に関して言えば、ちょっと素姓の良くない子とつきあうのを、問題だと感じているのは親です。
もし、子どもが自分の交友関係について、どうにかしないと、と感じているのであれば、それは子どもの課題になるでしょう。
でも、この場合、問題としているのは親であって、それは親の課題ととらえます。
ただ、そのような場合でも親が問題意識を感じるのは自然のことですね。
そんな場合は、お互いに話し合い、共通の課題にすることはできるはず。
どちらにせよ、それが誰の課題なのかを十分、分けて考える必要があります。
そうすると子供に対して過干渉という罠を避けることができるでしょう。
理解していただいたでしょうか?
では、いくつかの具体的な課題に関して考えてみましょう。
こんな場合、それは誰の課題でしょう?
①子どもが宿題をしない。どうにかしたい。
②いつも起きるのが遅くて、学校に遅れそうになり心配。
③成績が良くないので塾に行かせたい
さて、これらは誰の課題でしょう?
子どもの課題?
実はこれらは、親の課題です。
確かに宿題をする、早く起きる、塾に行くのは、子どもの課題です。
しかし、子どもが宿題をしないのをどうにかしたい、学校に遅れるのが心配、塾に行かせたいと思ったのは親です。
たとえ親が心配することが正しいとしても、子どもの課題とはなりません。
それは、そのように心配した人の課題です。
このようにして親は自分の願いや期待(親の課題)を子どもの課題として混同し、口を出しがちです。
実はそれには幾つかの弊害があります。
だから子どもの課題と親の課題は分けて考える必要がある。
課題の分離に関してはアドラー心理学をベースにした親子関係セミナー SMILEで詳しく学びます。
参加されるときっと面白いと思いますよ。