小学生ネタでありませんが、お許しください。
K君は、おとなしく目立たない男の子。その子が成績が落ちたことをきっかけに中学2年の一学期に登校拒否をしました。
しかし、2週間後、K君が学校に姿を見せると先生たちは驚いて彼を激しく叱責します。
なぜでしょう?
彼は頭髪を脱色し校則違反の学生服を着てツッパリとして学校に現れたのです。
それを見た先生たちは、K君に厳しい態度であたります。
しかし、彼は耳を貸そうとしません。
そして非行グループと付き合ようになり、どんどん素行を悪化させていきます。最終的には警察のお世話にもなり、鑑別所にも入るはめに!
夜、布団の上にカマキリが! 不適切な行動かも!
彼は卒業しても進学も就職もしないで遊び暮らしていました。
しかし、中学時代と変わった点がありました。
服装が普通に戻ったのです。
彼が卒業する少し前からカウンセリングをしていたカウンセラーは聞きました。
「卒業したらもう先生に叱られなくてすむから、さぞ面白い格好をするだろうと楽しみにしていたんだけれど、どうして普通の格好に戻ったの?」
彼は答えます。
「叱られないんだったら変な格好をしてもしかたがないじゃない。」
彼の行動には目的があったのです。
「最初、成績が落ちて、このままではみんなにバカにされると思った。だって、ぼくみたいにネクラで、その上に成績が悪かったら、ただのバカじゃないか。いじめられても仕方がない。それで登校拒否をした。でも、ずっと登校拒否をしているわけにもいかないと思った。いろいろ考えた結果、ツッパリになれば、みんな怖がって、ぼくのことをいじめないだろうと思った。」
これを読むと成績だけで人を評価する日本の教育システムの問題点が表れているような気がします。
それはいいとして、彼のツッパリをするという行動には、目的があったことがわかりますね。
いじめられないように自分の居場所を作りたかった。
ただ、昨日の記事
でも書いたように、アドラー心理学的に考えると不適切な行動に対して叱ったりなどの注目を与えるとその行動が強化されます。
それを先生は知らないので、彼の行動を強化してしまったようです。
カウンセラーの「もし、最初にツッパリルックで学校に来た時に、先生が『待っていたよ』と信頼を示し叱らなかったら君はどうしたと思う?」という質問に対して、彼はこう答えました。
「一週間か、二週間はツッパリをやったろうけれど、その後は普通の子にもだったと思うな。だって、先生に叱られても叱られてもツッパリをしているからカッコイインであって、相手にしてもらえないのにひとりでやっていたんじゃ、ただのバカじゃないか。」
いかがでしょう。
彼のこの話を見てみると、先生の叱るという対応が、確かに彼の不適切な行動を強化したことに気付くと思います。
もし、先生たちが、アドラー心理学でも学んでいて、不適切な行動に対する対処について知っていたら!
最初にK君が学校に来た時にその行動に適切に対処できていたら!
きっとK君の人生の歩みは違ったものになっていたのではないかと思います。
実は私の住んでいる水戸市でも郊外の小学校で小学生が先生を切りつけるなんてことが起っています。
切りつけられた先生というのは、知り合いの息子さんなんです。
話を聞くと子供の不適切な行動に対して負の注目、つまり問題行動に対して叱ることで、その行動を強化してしまっているのではないかと推測しています。
多分、より良い対処の仕方はあるはずです。
その意味で学校の先生が、アドラー心理学を学んでくださるといいなと心から思います。
そしてお母さんが学ぶときっと子育てが楽になるのではないかとも思うのですが。
参考文書
- クラスはよみがえる―学校教育に生かすアドラー心理学/野田 俊作
- ¥1,785
- Amazon.co.jp