幼児期に英語に全振りするセミリンガル以外のデメリット

小学校低学年までに第一言語(母語)を定めておかないと、大人になっても取り返しのつかない、抽象思考の出来ない(学習言語能力のない)人間になってしまうセミリンガルの話をしたのでもう一つデメリットを。

これは英語以外でも、幼児期にその子の周囲と全く違う選択をすると起こりますが、アイデンティティ形成が非常に難しくなってしまう。

両親の第一言語が違う場合などは言語を二つ習得させないと祖父母を始めとした親せきと話が出来なくなってしまうし、将来の学歴や就職をどちらの国でするかにも関わってきます。
それを幼少期から決めて教育しなくてはいけません。

言語だけでなく生活文化面、例えば休日を、ワイワイ親せきや近所の人と過ごすか、家の掃除をするか、自然に出掛けるか、街に買い物に行くか、テーマパークに行くか、習い事をするか、生活文化面も選択し続けないと行けません。
友人たちの話を聞くと、家庭によって色々ですが、ある程度周囲に合わせつつ、ここは譲れない自分ちのラインを考えながら、お子さんの様子を見ながら(数か国語を無理なく習得出来る子もいるし、そうでない子もいる。第二言語習得の個人差についてはまたいつか)その時々で対応を取っています。

『私も「移動する子ども」だった』川上郁雄、2010

この本は、そう言った子どもが大きくなってどんな人生を送ってどんなアイデンティティ形成をしたかを追ったものです。
良く知られている芸能人の方も多く出ています。

周囲と違う選択をするなら、その先を良く見通しておかないと行けません。
前にも書いたけれど、海外で活躍する人材は、日本の企業や機関で働きつつ、であるなら、メリットになりますが、それはそう言った能力もきちんと高めた上でのことです。
海外で、現地人向けの採用枠を取る事は、その国のネイティブと競って勝てるものがあると言う事です。海外ではマイノリティになるので権利も弱いし、今ある権利も政策が変わってなくなってしまう事もある。経済が悪ければ自国民を優先します。

以前読んだ本で、日本の名だたる会社で華やかなキャリアを持ってもちろん努力もされて、退社され、ヨーロッパでキャリアを活かした仕事を長らくされていたけれど、50歳を過ぎて突然解雇され、就職活動を繰り返したが実らず、結局最後は若い頃日本で働いていた時代の知人が仕事を紹介してくれて帰国、と言う人がありました。

このケースは、自分の力を試してみたい!とご本人が決めてされていたので良いのですが、幼児期に親が英語に全振りするなら、その前に、その教育を受けた人たちが大人になってどんな人生を歩んでいるのか調べた方が良いです。

幼児期の外国語教育、適切に導入すれば知力が高まって良いと言われるのに、適切って難しいです。