【深淵の守護龍】



深い場所には、音がない。

言葉も、感情も、
そこまで届かない。

ただ、静かに流れているものだけがある。

この龍は、
その“深い場所”に触れたときに生まれた。

何かを伝えようとしたわけではなく、
何かを表現しようとしたわけでもない。

ただ、そこに在る流れを、
そのままなぞるように描いていた。

黒は、閉ざす色ではない。

すべてを受け入れ、
すべてを沈め、
それでもなお残り続けるものを
静かに抱え続ける色。

光に向かう前に、
人は一度、深く潜る。

外に答えを求める前に、
内側へと還っていく。

その時間は、
決して無駄ではなく、
むしろ必要な流れ。

この守護龍は、
何かを与える存在ではなく、

すでに在るものに、
静かに気づかせる存在。

深淵は、怖いものではない。

そこには、
揺るがないものだけが残っている。

もし今、
立ち止まっているのだとしたら。

もし今、
言葉にならない何かを抱えているのだとしたら。

無理に進まなくていい。

ただ、深く、
静かに在ること。

その先にしか見えないものが、
確かにある。

深淵の守護龍は、
その流れの中に在り続けている。

Yukiryu (雪龍)
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