ウサギが奏でる夜のリズム | 砂漠のカーリマン

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来てくれた方皆様に、心からの感謝を。

どんな苦境にも、諦めずに生き抜く心を持ちたい。
そんな自分を目指す。つぶやき日記です。

読んでいただけると嬉しいです。

僕の魚たちは 眠りについた

 

あの月の夜空へ

 

月のない月の夜空へ

星も見えぬなかを 泳いでゆく夢を見ているのだろう

 

どうか安らかに

 

僕が君達を傷つけませんように

 

願うと狂ってしまうと言う

あの月に祈るよ

 

僕の心の中にある 海と砂浜と 満月のほとりで

 

あの鳥達はどこへ行った?

 

飛べる鳥達は 水槽の中から 広い世界へ……

 

言われるままに僕が命を奪った

亡き母が接ぎ木からくれた 月下美人

 

夏の夜 一夜だけ僕に会いに来てくれていたね

 

『ただ 一目会いたくて』

 

その花言葉のままのように 儚い花は

何故かいつも実を付けたが、芽が出たことはなかった。

 

大きくなってきて、同居人に邪魔にされて、自分のバラを部屋へ入れても、

僕の月下美人は雪の降る中でも、外に居た

 

 

僕は、心の耳を塞いで目を閉じて、縋っていた、キミの手に。

 

でも、キミは言ったね

 

『俺の手を拒んだのはお前だろう』と

 

もう、目も耳も覆う手もなくして

キミを傷つけてばかり居る。

そんな僕が、大嫌いだ。

 

欲しかった物の欠片さえ、僕の錯覚でさえ

与えられていなかった現実を、自分が悪いのだからと

生け贄の山羊で居ることを選び続けた。

 

朝に寝て

夜に起きる

 

キミを傷つけたくないから

 

 

それなのに、僕が幼い頃欲しくてたまらなかった

『食卓』は、買ってほんの数回食事をしただけで、彼はパソコンデスクで食事をする

 

だから、僕にとってあそこはもう食卓ではなく

 

事実、起きてみれば、好きなアイドルに作ってあげるという

ぬいぐるみのパターンが置いてあり

作業台とかしている

 

垂れ耳ウサギが、僕の夜に

音のない水音のリズムを刻みながら

跳ねて回る……

 

いっそ、月に見える、耳の尖ったウサギだったら

まだ僕も 現実に居られたかも知れない。

 

何もかもが色を失い、過去の僕のようになってゆく。

 

彼は、僕を壊したいんだ。

もう、二度と立ち上がれないように。

あの意識すら保てない、夜の闇に飲み込ませたい……

 

僕の言葉は彼にとって、不快な雑音以上に聞こえないものだった

 

それを、知るのが嫌だったし、怖かったのに

 

また、開けてしまった……

 

可愛いウサギ。

 

僕も好きになって、プレゼントや手紙を書いたけれど

アリスが怒って言った

 

『プレゼント喜ばないんだから、やるなよ。手紙も、なんでお前がやるんだよ?俺に合わせる必要は無いんだって言ってるだろう?!』

 

可愛い垂れ耳のウサギの浴衣を、縫うと言った僕の言葉を、彼は

まだ信じているだろうか?

 

生地のことや色々心配しても、はしゃいで何も聞こえていない

キミの耳には聞こえていないし、心にも届かないだろう。

 

 

ウサギを抱いた僕の可愛いアリス。

 

あの子はプレゼントが嫌いなんじゃなかったのかい?

 

 

喜ばない物を、せっせと手作りするキミはアリス?

 

月へ行きたいの?

僕が見ている月とは、全く違う

鏡のなかのアリス

 

 

僕の、最後に残った左の薬指の爪も、昨日剥がれた

その僕に

ウサギの浴衣を、可愛く見えるように縫えというの?

 

帯に良さそうな生地は買ったが。

今の僕に手縫いはキツい。

 

ミシンでやれる所だけやって、後は手で縫うしかない場所だけにしようか。

 

手縫いの方が僕は早かったりするのが笑えるが……

 

心をなくしても、生け贄の義務が忘れられない。

それ程の環境で育ったのだと、ずっと説明してきたが

そんな欠片より

 

垂れ耳ウサギを追いかけて、不思議な穴に入った後の世界が

僕のアリスの全てだった

 

僕を現実にはつなぎ止めてくれない。

 

……小学生の頃、請われて『キチガイの帽子屋』の役をやった

 

僕のクサイ演技は、大ウケだった。

僕自身は、さほどとも思っていなかったし、言われるように

ただセリフを覚えて、言われるようにやっただけだったけれど

 

ねぇ?アリス

どこへ行きたいの?

 

それは僕も知らない、遠い遠い場所?

 

 

僕の言葉が理解出来ないと。

怒る可愛いアリスに買っても良いかと断らず

月下美人の鉢を買って

枕元に置いた

 

 

怖くて……夜が怖すぎて

僕の魚たちが睡っても、睡れないから。

 

ウサギの奏でるリズムは、僕自身から産まれて、僕を破壊し続ける

永遠の細胞癌と呼ばれる物ををしいすべく

毎月右腕から入れられる異物の奏でるリズムと、全く同じように聞こえて

狂気が僕を喰らっていく。

 

この、リンパも神経すらない、化け物の左腕も傷も忘れさせて……

 

眠らせて。

 

今夜だけは

 

夢も見ないほどに強く、キミが抱きしめて

 

 

僕の緑……

 

 

さようならアリス

 

月へ行って、ウサギとダンスを……

 

クルクル回る回転木馬のように

 

 

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ご迷惑でなければ、お願いいたしますm(_ _)m


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