縄文時代 第二講

⑴海面上昇、それによる自然環境の変化

⑵縄文土器の分類、特徴

⑶縄文人の文化と信仰、生活


今からおよそ1万年前、氷期が終わり完新世(=沖積世)を迎え、温暖になった。


《結果》

a)海面が上昇する海進が起こり、現代の日本列島が形成された。(ユーラシア大陸から切り離され、地続きが終わった)


b)東日本:ブナ、ナラなどの広葉樹林

     西日本:シイ などの照葉樹林

→以前までは亜寒帯の針葉樹林であった

⇒氷期がすぎ、温暖になり低温で育つものから暖かい場所で育つ植生に変化した


c)大型動物が絶滅し中小動物が多くなった

●中小動物

・ニホンジカ

・イノシシ

→動きが速い

⇒これらを狩るために弓矢ができた。


 ⑵縄文土器分類

●縄文土器……縄目があり、黒褐色、厚手。


(ⅰ)草創期

・豆粒文土器 →長崎県の泉福寺洞穴が最古

・隆起線文土器→長崎県の福井洞穴から発見

・無文土器、爪形土器

(ⅱ)早期

・尖底土器

(ⅲ)中期

・火炎土器  (中期から装飾的なものが増)

(ⅳ)後期

エリモB式土器
・壷形土器

(ⅴ)晩期

・亀ケ岡式土器→青森県

・夜臼式土器→福岡県


土器などの年代測定方法→放射線炭素14C測定法

樹木や木材の年代測定方法→年輪年代法


縄文人は地面を掘りくぼめ、柱を建てて屋根を葺いた竪穴式住居に住んだ。

→住居の中央には炉が設けられた。

⇒このような集落の近くには貝塚が設けられることが多かった。(貝塚……ゴミ捨て場)

(環状や馬蹄形に形成されることが多数)

●貝塚

・アメリカ人の動物学者であるモースは1877年に大森貝塚を発見。

・千葉県加曽利貝塚、姥山貝塚→環状集落の形に従って貝塚が形成された。

・福井県鳥浜貝塚→漁労に使用した丸木舟が発見

・岡山県津雲貝塚


●縄文時代に定住が可能になった理由

・縄文時代早期から前期の地球の温暖化により食料資源が以前より多様化し、それを加工する技術が進展したから。


●道具

・石鍬……土を掘る用

・石皿、すり石……木の実をすりつぶす

・石匙……動物の皮をはぐ

・骨角器→銛、釣針(木製の道具から頑丈である骨角器の使用にうつり変わった。)

・土錘、石錘→漁労の際に網のおもりに使った

《黒曜石原産地》黒曜石……石鏃などの材料に使われた特別な石。

・熊本県 阿蘇山

・大分県 姫島

・長野県 和田峠

・北海道 白滝、十勝岳

・佐賀県 腰岳

・東京都 神津島

・島根県 隠岐

・静岡県伊豆市 柏峠


《サヌカイト原産地》

・二上山

→大阪府と奈良県にまたがる。

《ひすい(=硬玉)原産地》

新潟県姫川流域

→勾玉の材料に使われた。


●信仰、文化→自然現象に霊威を認めるアニミズムという考えがあった。

あ)土偶……女性をかたどったもの

い)石棒……男性の性器をかたどった呪術道具。→多産、収穫増を願う

う)抜歯……成人になる通過儀礼

え)研歯……呪術者である証として三叉状に歯を研ぐ

お)屈葬……手足を折り曲げた埋葬方法

→死者のこの世への再帰を防ぐため

か)環状列石(=ストーン・サークル)……大小様々な石が環状に配置されている墓地

・秋田県 大湯環状列石


統率者はいるが、人々の身分の差はそれほど明確ではなかった。

→統率者などを大規模に弔った跡がないことから推測。