毛利有希~有希の秘密の花園-DCIM0026.jpg


一つの物事によって
有希の中には
多数の感情が生まれる。

有希は
その中で
心地好いものだけを
記憶に留めておくことにしている。



例えば、読書の時。

長編の残り頁数が
少なくなって来ると

≪この読み物の全貌が明かされる
という事への期待≫
≪この読み物が終ってしまう
という事への
戸惑い≫
≪続きがもう残されてはいない事
への
寂しさ≫
≪次に何を読むかを
考える機会を獲得した
という事への
楽しみ≫
≪読破したものが増える
という事
への達成感≫
≪読者の数と同数ある解釈の数、
次は有希の胸の内に
有希だけの解釈による物語が
加わるであろう
という事への
喜び≫

その他にも
様々な感情が沸き上がってくる。

勿論それは
一例に過ぎず、
食事、転勤、1日、1週、・・・
日常的な全ての事に
共通している。



『けり。』がつく
『けり。』をつける度に、

好い思い出を増やせば
次にも希望が持て
挑戦しやすくなり、

悪い思い出ばかりを残したり

完了させることさえ拒んでいては

過去も現在も未来も
真っ暗に違いない。



有希は
キラキラな毎日を
集めている
゜+。(*′∇`)。+゜
マエヲミテモ、
フリカエッテモキラキラ、
モチロンイマモ。



一つの物事によって
有希の中には
多数の感情が生まれる。


だから
有希は
その中で
心地好いものだけを
記憶に留めておくことにしている。


















・・・色褪せた僅かな
痛みの記憶とともに。