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忘れないうちに本の感想を…

何者と火花

たまたま近い時期に読み始めたのですが、偶然にも共通する部分がありました。

それは、いったい自分はどんな人間なのか、そしてどんな人間へと成りえるのか?

人のことは客観的に判断したり評価したりできても、自分のことは誰しも盲目になってしまう。

人との比較を通して自分を知り、人との比較をしすぎるがゆえ自分がわからなくなってしまったり、そうした作業を無意識のうちに繰り返しているわけで、わかっていても、本当の自分以上にカッコつけてしまったり、大きく見積もってしまったりしてしまうのが人間というものですよね。

特に、若い20代の頃なんてその塊みたいなもの。

だけど、どんなにあがいても自分は自分以上でも以下でもない。そして、どれだけ憧れようがその人にはなれないし、どれだけ見下げようがその人に勝ったことにはならいわけで、自分は自分でまっすぐ前をみて進む以外に道はないんだなってのを受け入れるまでってかなりの年月を費やしてしまいますよね。

何者は、その渦中にあるままに、火花はそれを振り返るそんなテーマの共通性を感じました。

そしてまた、火花については、わたし自身又吉さんと年齢も近く、さらに触れ合っているリアルな世界もすこしだけ身近な場所にあるから、読んでいて小説であることを忘れてしまうような、まるで誰かの自伝であるかのような、そんな臨場感がありとても面白く読めました。

結果的にいうと、二度号泣し、そして最後に失笑しました。

泣かせといて、それで感動のエンドでもなく、最後に爆笑でもなく、失笑なんです。

それがなんとなく又吉直樹さんっぽいなぁと勝手に思ってみたり…。 とにかく、二冊ともとても楽しませて頂きました。