ソニー時代の最後には何とかして税理士を目指しつつ、かつ職歴に穴をあけない方法について半年近く悩んでいました。その時に、助けに船とばかりの話ですが、個人事業をやめて、趣味レベルで音楽をしていた界隈で、会社を建てようという話が盛り上がったのです。

会社を建てようとしていた理由は細かく言うと複雑です。当時、自分が趣味範囲で続けていた音楽活動と、コラボして音楽をする人たちが2007年ごろ多くいたのです。その中でも、仲良しのアーティストさんがかなり人気がでて事業規模が拡大してしまい、個人事業レベルでは難しいレベルの大きな契約をする事になってしまっていました。その人気アーティストさんたちは自分で会社を立てて活動をしたいと切願していたので、その望みを叶えるために、私は会社発起人となって設立を手伝いました。

彼らは音楽活動に専念し、守り部分は会社側にやってもらうという魂胆だったようです。実際法的にはかなり法人を立てると一枚壁が出来ますので守りは強固になったのではないかと思います。

発起人と、今は会社法の勉強をしているのでよくわかるのですが、当時は何もかもがわからなかったです。素人では無理な範囲があるとわかったや否や、税理士の方に色々インタビューし、定款の策定や登記について教えてもらいました。その時の税理士さんのてきぱきとした対応や、何でも細かく教えてくれる姿に感動して、将来はこういうプロフェッショナルになりたいと思ったのが会計士を目指す原動力になっています。

私が趣味の範囲で習得していたCD作りのノウハウや、大きいショップとの契約方法などを伝授しながら、会社を陰ながら支えていました。その時はまだソニーに在籍していましたので、副業は禁止でしたし、あくまで個人レベルで相談を受けたりする程度でした。

2008年にはいって会社が実際にうごきだして1,2ヶ月たった頃、恐ろしいことにその人気アーティスト達は「ノウハウはもらうだけもらった」「お前たちは判断が遅い」と罵られた上に、辞表を提出してさっさと会社を辞めてしまいました。会社を立てて欲しいと言われて頑張ったのに、この仕打はすごいなあと思います。辞表を出しておきながら、残留していた報酬などについて、弁護士を立てて債務整理をしようとしてきたり、まるでチンピラのような事をしてきました。

当時彼らは大学を卒業したてで、まともな収入を得る会社員をやったことがなかったからか、たかだか年間数百万円の報酬金が用意されているだけでも相当興奮し、奢っていたようです。自分たちはすごいのだと。金とノウハウさえあればあとはなんとでもやっていけると思ったのか、私たちが作った会社は即捨てられてしまいました(笑)守秘義務契約等を事前に結んでおくべきだったなあと思います。

しかし弁護士が出てきた時には、さすがにこちらも弁護士を立てないとだめかなと思ったりもしたのですが、私は会社にまだ入っていなかったただの発起人に過ぎず、手も足も出せなかったのです。当時の社長(今もトリニティアの代表取締役、女性ながら作詞・作曲・編曲・歌唱・企画運営・CD出版までやってのける凄腕)に聞いてみたところ、「自分ひとりで対処してみる」とのことで、なんと弁護士と直接やり取りを始めてしまいました。

ベンチャー企業の社長ともなると、肝がすわっているというか……当時唖然としたものです。相手の弁護士は若手であまり詳しくない分野での債務整理だったせいか、うまく交渉が出来なかったのか、うちの会社がある程度有利に示談で収まってしまいました。当時の社長の行動を見て、発起人だけで収まるのではなく、自分もこの会社で一緒に盛り立てていくのを手伝いたいと思い、ソニーを辞めて、自分の発起設立した会社にジョインすることになりました。

入るときには、自分はプロフェッショナルになりたいので、仕事をしながら勉強もしたいと言う事を伝えましたが、大いに賛成して頂きました。思い切りのいい社長の判断にはいつも感謝しています。思い切りの良さは、ベンチャー企業では必要な資質なのかもしれませんね。現にトリニティアは3年たっても潰れてませんし。

そんなこんなで、ソニーを退職して新しいベンチャー企業で取締役をやりつつ、税理士の勉強を開始したのであります。

【私の職歴】⑥ トリニティア取締役時代 に続きます。



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