皆さま こんばんは!
今回の記事は以前に
upした記事です*
この記事を好きだという方から
嬉しい要望を頂きましたので
再upしますね(・∀・)/
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君がいた夏は 遠い夢の中
空に消えてった 打ち上げ花火
太陽は今日も空へと昇り世界に光を与えている。その光を浴び草木は育ち、地球は豊かになっていく。太陽はいつだって万物の中心にいた。
そんな太陽に向日葵は恋をした。
太陽に少しでも近づきたくて、向日葵は太陽に向かい、背を伸ばした。太陽の目に少しでも映りたくて、向日葵は花びらを太陽と同じ「黄色」に染めた。
この想いが太陽に届くと信じて...
「今日から、新しいお友達が増えます。」
朝のまだ騒がしい教室に担任の声が響く。その声にクラス全員の視線が1人の女の子に集まった。小6の3学期。あたしはこの学校に転校してきた。
初めての転校。住み慣れた街を出て、新しい環境に移るという事は、まだ幼いあたしにとって大きなストレスになった。新しいクラスで上手くやっていけるか、不安だらけだった。
でもこの教室でナオキに出逢った。
ナオキはクラスで1番背が高く、肌は程よい小麦色で、いかにもスポーツマンタイプの男の子。実際、所属しているバスケ部ではレギュラーで、チームの中心的存在だ。
休み時間、笑い声がすると、必ずその中心にはナオキがいた。ナオキの周りにはいつも人が集まる。笑った時にこぼれる白い歯がキラキラしていて、とても印象的だった。
ナオキはまるで太陽だ。
そんなナオキに恋するのには、それほど時間はかからなかった。気がつくとあたしはナオキを目で追っていた。生まれて初めて芽生えた感情に戸惑った。初恋だった。
あたしはまるで太陽に恋する向日葵だ。
ねえ、ナオキ。
向日葵の名前の
由来て知ってる?
向日葵ってね
太陽の動きに
合わせて花を太陽に
向けるんだって。
それで太陽の方向を
追うように花が回るから
「向日葵(日回り)」て
ついたんだって。
ナオキを目で追う
あたしみたいだね。
ナオキとの関係は進展せず小学校を卒業した。そして、ナオキともっと仲良くなろうと意気込み中学校に入学した。
少しサイズが大きいブカブカの制服に身を包み、あたしは入学式へと向かった。
入学式の前にクラス発表がある。あたしは自分の名前よりも先にナオキの名前を探してた。ナオキの名前を見つけただけで、胸が高鳴った。もう重症だ。そして、ナオキのすぐ下に自分の名前も見つけた。ドキドキが加速した。
あたしは相変わらずナオキを見てるだけの向日葵だった。どうにか近づきたいと思ってはいても、嫌われるのが怖くて、声すら掛けられなかった。
それにナオキと喋るとテンパって、何を喋っていいかわからなくなる。他の人とは上手く喋れるのに。ナオキとの間には防御壁ばかり作って積極的になれない。こんな自分が時々嫌いになる。
何も出来ずに時間は流れ、ある日の帰り道。あたしは家へ向かいスタコラサッサと歩いていた。すると後からナオキが声を掛けてきた。
突然の事であたしは「あひゃっ!」て声を上げて、道の傍の田んぼに頭から突っ込んだ。ナオキは「大丈夫!?」と言いながらも、ゲラゲラ笑っていた。
うん、大丈夫なワケがない。
むしろ、最悪だよ!!!
てか、あたしは人間魚雷か!!!
でもこの出来事が2人の距離を縮めた。ナオキに恥ずかしい姿を見せた事であたしは開き直れた。だから、いつものあたしのままでナオキに接する事が出来た。
それから学校が楽しくなった。ナオキと喋る回数が増えた。ナオキとの距離がどんどん縮まる。ナオキのキラキラの笑顔からたくさんの力を貰った。時々、切なくなる事もあったけど、この感情1つ1つが全部恋なんだと、思える様になってた。
そして中学校初めての夏休み。
あたしはナオキと地元のお祭りに行った。告白するつもりでナオキを誘った。告白の時に渡そうと思って、向日葵のキーホルダーも用意した。
「花火が終わったら、告白しよう。」密かに計画を立てた。
金魚すくいをして、かき氷を食べて、1つの綿あめを2人で食べて...まるで夢の様な時間だった。
花火の時間が近づにつれて、あたしの胸の鼓動が激しくなる。まるで身体の中で、すでに花火が打ち上げられてる様だ。不意にナオキが「とっておきの場所があるんだ。」と言って、あたしを祭り会場から連れ出した。
胸に淡い期待が膨らんだ。
会場のすぐそばに小高い丘があり、その頂上は開けていて、街が一望できる。あたしとナオキはそこに行き、1つだけあるベンチに座った。そこから見えたお祭りの色とりどりの提灯(ちょうちん)は夏の星座よりも綺麗だった。
どーーーーーーーーーーん!!!
突然、夏の夜空に向日葵が咲いた。とても綺麗だった。向日葵が夏の主役になったみたいで、とても嬉しかった。あたしは向日葵のキーホルダーをギュッと握った。
花火に照らせれたナオキの横顔は凛としていて、少し大人びて見えた。あたしは思わずドキッとした。そして花火があがると、はしゃいですぐにキラキラの笑顔を見せた。それが無邪気でかわいかった。
花火はあっという間に終わり、辺りは静寂に包まれた。この静寂がとても心地よくて、あたしは花火の余韻に浸っていた。
「俺、転校するんだ...。」
ナオキがポツリとつぶやく。静寂が破られた。予期せね言葉に困惑した。あたしはその言葉を理解できなかった。いや、理解したくなかった。
しばらくの沈黙の後、「じゃあ、記念にこれあげるっ!!!」と言って、乱暴にあのキーホルダーを渡した。乾いた風に運ばれてきた火薬の匂いが、胸を締め付けた。
夏の夜空にあたしの初恋は消えた。
それから数週間後、ナオキが出発する日。あたしは見送りに行けば絶対に泣くと思い、見送りには行かないつもりでいた。でも、それよりも会いたい気持ちが強くて、ナオキがいる駅に向かった。
ナオキの周りには相変わらず人が集まっている。ナオキはあたしに気づき、笑いかけてくれた。1番好きな笑顔だった。でも、もう見れなくなると思うと、とても切なくなった。
出発の時間になり「じゃあな。」と軽く手を挙げ、ナオキはみんなに背を向けた。その背中に背負われたリュックには、向日葵が揺れていた…。
ねえ、ナオキ。
向日葵の花言葉て
知ってる?
「憧れ」って
言うんだって。
ナオキのことを想う
あたしみたいだね。
挿入歌『夏祭り/Whiteberry』
by yuki