こちらの記事では癌と診断されてから入院決定までどのような流れだったかをつづりたいと思います。

 

 

①主治医と治療方針の相談

 

癌のステージは最初1b3といわれていました。腫瘍の大きさが5cmほどあり、膣壁への浸潤も少し始まっている状態だと言われました。

 

このステージでは子宮も卵巣もとる「広汎子宮全摘出術」か、放射線治療と抗がん剤治療を並行して行う「同時化学放射線治療」が標準治療となります。

 

先生からは広汎子宮全摘出術+同時化学放射線治療を強く勧められました。癌細胞を完全になくすためです。

 

ですが、22歳という結婚も出産もこれからという若さで、子宮も卵巣もなくなり、子どもを産めない体になるという事実にとてもショックを受けました。

 

特に私は将来子どもが欲しいという思いが強かったので、絶望という言葉の方が正しい表現かもしれません。

 

何とか、たとえ数%でも自分の子どもをもつ可能性を残せないかと主治医に聞いてみましたが、腫瘍も大きいため他の治療法は適用できない、自身の命を助けることを優先してほしいと言われてしまいました。

 

 

 

②妊孕性温存について情報収集

 

それでもあきらめられなかった私(と母)は、ネットで妊孕性についての情報を見つけ、将来自分の子どもを持つ可能性を残すために動きだしました。

 

そもそも妊孕性というのは、「妊娠するための力」のことです。癌の治療により卵巣など生殖機能に影響が出てしまい、妊娠するための能力が弱まったり、失われたりすることがあります。

 

妊孕性温存とは、そういった治療を受ける前に、卵子や卵巣を凍結し、将来自分の子どもをもつ可能性を残すことをいいます。

 

(引用:国立がん研究センター)

 

私の状況では、子宮が無くなってしまう=妊娠ができなくなるので、卵子や卵巣を残したところで、自分の子どもをもつには「代理母に産んでもらう」という選択肢しかありません。

 

日本では禁止されていますし、たとえ海外で代理出産を介して自分の子どもを手に入れたとしても「子どもを産んだ人が母親」となる日本の法律では戸籍上血のつながった親子になることはできません。

 

それでも、たとえ将来やらないとしても「卵子を残して将来代理母に出産を依頼する」という選択肢を残すことが何よりも心の支えになると思ったのです。

 

代理母に関する法律が変わったり、子宮移植の話が出てきているように将来生殖医療が格段に進歩するかもしれません。

 

その時に(あの時卵子を残しておけばよかった...)と後悔しないようにしたかったのです。

 

 

卵子を残すには①卵子凍結と②卵巣組織凍結、また③手術の際に卵巣を残すという方法があります。

 

しかし、結果的に①卵子凍結はできませんでした。卵子を取る際に膣から卵巣に針を通すのですが、私の場合はその際に針が腫瘍を通ることになり、卵巣に癌細胞を送ることになってしまうからです。

 

②卵巣組織凍結は卵巣の一部を切り取り、その中から卵子を取って受精卵を作るというものです。

 

(引用:聖マリアンナ医科大学)

 

ただ、この卵巣組織凍結を行っている病院は少なく、運よく対応してくれる病院が見つかってもまた1から診察などをしなければならないとなると、時間のロスが心配でした。

 

③は手術の際に卵巣を残すことで、さらに放射線治療の際に放射線が少しでも当たらないように卵巣を吊り上げる処置をしてくれる病院もあります。

 

そのため、③手術の際に卵巣を残すことで妊孕性温存をできないか打診することにしました。

 

 

 

②セカンドオピニオンの検討

 

妊孕性温存についての方針は病院によってかなり違います。

 

私がお世話になっているT大病院は癌からの根治を最重視しているため、基本的に転移の恐れがあるものは全て取ります。

 

言い換えれば卵巣も残さないし、ましてや卵巣を吊り上げる施術も行っていないということです。

 

当然卵巣凍結もやっていません。

 

なので私たちの③卵巣を残すという提案は却下されました...。

 

そこで、インターネットで妊孕性温存に力を入れているという情報があったK大学病院とSt.M医科大学病院にセカンドオピニオンを依頼することにしました。

 

主治医に必要書類を作成してもらい、それぞれのセカンドオピニオン専用窓口から予約をしました。

 

ただ、セカンドオピニオンを受けるにあたって不安要素がありました。それは治療時期が遅れる可能性があるということです。

 

St.M医科大学病院は毎週火曜日に受け付けているので電話した1週間後に予約をとれましたが、K大病院は書類が郵送で届いてから予約日を調整するのでいつ予約が取れるのか分かりませんでした。

 

実はがんの診断が出る3か月前に1度子宮頸がん検査を受けていたのですが、その時は経過観察でいいとなっていたのです(誤診の可能性は十分ありますが)。

 

なのでそこから3か月で腫瘍がこんなに大きくなったと考えると、セカンドオピニオンをしている間に腫瘍がどんどん大きくなったり、癌が他の組織に転移する可能性も否定できず、不安が大きかったです。

 

 

 

③ステージと治療方針の最終決定

 

これまで(といっても数日間ですが)妊孕性温存に向けて走り回っていた私と母ですが、主治医からの電話で状況ががらりと変わりました。

 

PET検査の結果、リンパ節に転移があることが分かり、ステージが3Cに上がったのです。この場合はもう手術の選択肢が消え、同時化学放射線治療のみになるといわれました。

 

この時点で私は(もう妊孕性温存を考える段階ではなく、自分が生きるか死ぬかの話になってきたんだ)と冷静になり、家族と相談してセカンドオピニオンの予約もキャンセルし、すぐに治療を始めてもらうようお願いしました。

 

たまたまタイミングが良かったのか、癌の診断から2週間強で入院をさせていただきました。迅速に動いていただいた病院には感謝しかありません。

 

セカンドオピニオンに関してはやはり少しは後悔があります。聞きに行くだけでも行けばよかったかな...と。

 

ただ、セカンドオピニオンを聞きに行くのを待ってもらっている間に治療開始が遅れる、万が一転院になったらさらに遅れてしまう可能性がある。

 

また卵巣を吊り上げる施術ができても、将来代理出産を選択するか分からない、そもそも多少なりとも放射線が当たる卵子が100%安全なのか、せっかく温存した卵巣に癌が転移する可能性だってある。

 

などなど考え、まずは自分の命が助かることを最優先にしよう、そう思うようにしました。

 

 

 

以上が癌を診断されてから入院するまでの流れでした。

 

同じ癌と診断された方の参考に少しでもなれれば幸いです。