去年の御用納めの日のことです。
もうそろそろ日付が変わろうとする時間、
空港から都内中心部へ向かう電車内はほど良く混み
ほのかに酒臭くなんだか浮かれた空気でありました。
私は機内でのうたた寝から覚めきらず、
ぼんやりとしながら運良く掴めた手すりにしがみついて
隙あらば逃げようとするスーツケースを押さえつけておりました。
ふと、なんだか背中を触られる感触があったんですよ。
一瞬寝ぼけているせいかな?とも思ったんですが、
冬物のコートの上からでもそれがわかるわけです。
何事かと振り向きましたらね、
へぁっ!?
と声が出そうになりました。
(いや、実際に出たかもしれません)
泥酔状態の若いリーマンが私の髪を掴んで
楽しそうに撫でたり引っ張ったりしているんです。
ひぃいぃいいいい!!!!
さらに連れのリーマン3人が彼の両脇で
必死の形相でスミマセンスミマセンと私に手を合わせているのです。
ええぇえぇええええ!!!
こういう時ってどうするのが正解なのか頭が真っ白になりますね。
普段は男性美容師も苦手なくらいなんですけどね。
でも三人の必死の助命嘆願っぷりを見ると
ここで大声出したらこの人のリーマン人生終了とかなんですか?
時節柄警察署で年越しになってしまうとかあるんですか?
どうすんの?どうすんの?どうしたらいいの?
てかその据わった目を見ると
そもそも人間の女の髪を引っ張ってる自覚がない事に気付きまして。
あらら…。
どう考えてもあなた飲みすぎじゃあございませんかと。
電車内に立っているのがロングヘアのヅラをつけたマネキンか、
寝ぼけた顔をした女かどうかくらい判断つかないんですかと。
いや、つかないからこんな事してんでしょうけど…。
で、これはどうするんだ、どうするべきなんだと
数秒間ぐるぐると思い巡らせて、
なりました。
マネキンに。
一生懸命なりました。
マネキンに。
はーやーくーはーなーしーてー(涙
まあすぐに3人組が引き剥がして
車両の隅へ連れてってくれたんですけどね。
不満そうでしたんで、
おそらく最後までマネキンだと思ってたみたいです。
そしたら今度はなにやら楽しそうに大声で語り始めましたよ。
曰く「俺はなにをやーってもうまくいくタイプ!」
「なーんか知らん間に成功してるんだよね~」
電車内にスリッパがあったら
助走をつけてすっぱーーーーんと
はたきたくなった人がいっぱいいたと思います。
もちろん先陣を切るのは私ですけどね。
さっき必死に助命嘆願してくれてた3人組は苦笑いしてました。
まぁ、私自身くだらない間違いをやらかすこともよくあるし、
気付かないうちに周りがフォローしてくれていることも
きっとたくさんあるんだろうなと、
うまくいったときは自分を褒めるのもよいけれど
まずは周りのおかげかもと思ってみようかなと、
そんなことを思いながら目的地へ急いだ年の暮れだったのです。
いやいやまったく。
ちなみに私は体質的にお酒には相当強いと思われますが
普段は全く飲みません。
アルコールを殆ど通していない超高性能の肝臓ですよ!
これはなかなか貴重じゃないですか!
レバ刺しにしたら超高級品っすよ!
ごま油と塩でいけますって!
と会社で力説したら
上司に可哀相な子を見るような目で見られました。
なにはともあれ時節柄、酒は飲んでも飲まれるなということで
皆様どうぞよいお年をお迎えください。
