由依side







気がついたら、あたたかい腕の中にいた。
いつもなら、もう起きてリビングでまったりしてるはずの理佐が、今日は隣で私をじっと見つめていた。

「おはよう、ゆいちゃん」

朝の光より優しい声で、名前を呼ばれる。
眠い目をこすって顔を上げた瞬間、柔らかくて大きな腕に抱きしめられた。

「ちょ、え……てか、なんでちゃん⋯呼び?」

まだ頭がぼんやりしてるのに、ぎゅうっと胸元に引き寄せられいつもはしないちゃん呼びに驚く。
体温も、香りも、心地よすぎて、目が覚めるどころかとろけそうになる。

「照れてるの?かわいい。ほら動かないで。今日、ゆいちゃんを甘やかす日なの」

「……は?」

本気みたいだった。真剣な目で、でもふわっと笑って言ってくる。まるで何かを決意したみたいな顔で。

「今日、なにもしないでいい。ごはんも、洗濯も、お風呂も、なにも。ゆいちゃんは、甘やかされて、可愛いって言われて、愛されるだけの日」

「いやいやいや……そんなの、わたし、何もしてないのに……」

言いかけた途端、顎を指でくいっと上げられた。
顔が近い。理佐のきれいな瞳がすぐそこにあって、こっちをまっすぐに見つめてくる。

「なにもしてなくても、わたしが甘やかしたいの。
だって、ゆいちゃんが存在してるだけで可愛いし、すきだし、守りたくなるし……もう、理性がもたないくらい好き」

「り、理性とか言わないで///!」

顔が一気に熱くなる。
朝なのに、こんなに見つめられて、こんなに愛されて正直逃げたかった。でも、身体がまったく動かない。
いや、逃げたいんじゃなくて、逃げられないのかもしれない。

理佐の声も、触れる手も、呼吸すらも、あたたかくて。心を溶かされるみたいに、全部受け入れさせられてしまう。

「恥ずかしがってるのも好き。困ってる顔も好き。
全部、愛してる。世界で一番、わたしの中にある好きをぜんぶ集めたら、ゆいちゃんの形になると思う」

そんな大げさなこと、普通は笑うところなのに。
でもなぜだろう、涙が出そうになる。

「理佐、そんなの、ちょっと重いよ」

「うん。重いよ。知ってる。わたし、ゆいちゃんに重いの。めちゃくちゃ」

即答だった。ほんの少しも迷わずに、言い切ってくる。
でも、その目はどこまでもまっすぐで、まるで祈るみたいにわたしを見つめてる。

「甘やかさせて、お願い。
今日、可愛いって百回言わせて。好きって千回言いたい。
何度キスしても足りないの。ゆいちゃんが可愛すぎて、もう胸がいっぱいで」

頬に、髪に、額に、何度もキスが落ちてくる。
そのたびに、心臓が跳ねる。指先が震える。けど、どこか安心してる。

「わたしがそばにいる間は、ゆいちゃんに何ひとつ寂しい思いさせない。
泣きそうな日も、怒りたい日も、不安な夜もぜんぶ、わたしが包むから」

あたたかくて、包み込まれるみたいで、
なにかがほどけた。

「りさちゃん……」

声が震えて、自分でもどうしようもなかった。
こんなにも大切にされて、こんなにも想われて、
自分が自分でいられないくらい、幸せすぎて。   


「っ⋯⋯⋯!!」

「……もう、無理。だめ、かも。ゆい、りさちゃんに甘やかされすぎて、溶けそう」


そう言った瞬間――
りさちゃんの顔が、きらきらしてた。

わたしのこの“無理”は、逃げたいとか、限界とか、そういう意味じゃない。
むしろ、嬉しすぎて、幸せすぎて、脳みそふわふわしてきた感じ。
だけど、それがもう見抜かれてるみたいに、りさちゃんは満足そうにわたしをぎゅっと抱きしめた。

「ふふかわいい、
いいよ。ゆいちゃんとろけちゃって。溺れて。わたしが全部受け止めるからその顔もっと見たい。もっと無理ぃ……ってなって、わたしに甘えてほしい」

耳元でささやかれて、びくって肩が跳ねた。
ずるい。声が甘すぎる。距離が近すぎる。
鼓動が速くなってるの、きっとバレてる。

「ゆいちゃんが素直に甘えてくれるの、すっごくかわいい。わたしの理性が飛ぶくらい」

「……甘えて、いいの?」

思わず漏れた声が、少し震えてて、自分でもびっくりする。
でも、りさちゃんはふわっと笑って、すぐに頷いてくれた。

「もちろん。わたしが、どれだけでも甘やかすから」

言葉の意味が、胸の奥にじわじわ染みていく。

わたしは、りさちゃんに
甘えてもいいんだ。
わがまま言っても、面倒かけても、何も返せなくても。
そばにいるだけで、いいんだ。

なんだろう、涙が出そう。

「りさちゃん……」

名前を呼ぶと、すぐに返事が返ってくる。

「なあに?」

「……ねえ、ぎゅーして。もっと、くっついてたい」

「うん、する。ずっとする。ずっとずっと、ゆいちゃんのこと抱きしめてる」

腕の力が、ほんの少しだけ強くなる。
それが安心感になって、わたしは理佐ちゃんの胸元に顔をうずめた。

「ねえ……キスもして……」

「どこがいい?」

すぐにそう返ってきて、わたしはちょっと考えて
そっと、首筋を指差す。

「……ここ」

「……ん、了解。かわいすぎて、無理」

その直後、りさちゃんの唇がそっと首に触れてきた。
やわらかくて、あたたかくて、ぞわってするくらい優しいキス。

「ふっ……あ……」

声が出そうになるのを必死にこらえたけど、りさちゃんはにやっと笑って、もう一度、さらにゆっくり口づける。

「かわいい声。もっと聞かせて」

「ばか……っ」

「ばかでもいい。甘やかすためだけに生きてたい、今」

もう無理。ほんとに、無理。
甘やかされすぎて、頭がとろける。
胸がいっぱいで、喉が詰まりそうで、
でも――

「りさちゃん、だいすき……ほんとに、だいすき」

心からそう言った。

そしたら、りさちゃんがすごく嬉しそうに目を細めて、
まるで宝物でも見るように、わたしの顔を撫でてくれた。

「ゆいちゃんが、そんなふうに甘えてくれるなんて……嬉しくて、泣きそう。ずっとそうしてて。わたしの前では、いつも甘えてていいよ」

「……やだ。もっと甘やかして」

「喜んで」

ほんの数分前まで、甘えるのが恥ずかしくて仕方なかったのに。今はもう、全部ほどけてしまって、
この腕の中が、一番安心する場所になってた。

どこにも行かないでって言われなくても、
わたしはここにいるって思った。

理佐ちゃんが、こんなふうに抱きしめてくれるなら
甘え倒して、ばかみたいに幸せでいて、
「ほんとに無理ぃ……///」って何度でも言ってしまうくらい、この愛に、溺れていたい。

日が沈んで、部屋の明かりも落とした頃。
ソファの上、わたしはりさちゃんに背中からぴったりくっつかれて、腕の中にすっぽりと収まっていた。

ずっと、こうしてくれてる。
夕方に甘えてから、ほとんどずっと。
ごはんも食べさせてもらったし、髪も乾かしてもらったし、わたしは今日、なにひとつ自分でしてない。

なのに、ありがとうって、何度も、りさちゃんのほうが言ってくれる。

「今日、いっぱい甘えてくれてありがとうね。嬉しかった。ほんと、幸せだった」

そのたびに、胸がきゅうっとなる。

わたし、なにか返せてるんだろうか。
受け取ってばかりで、重たくならないんだろうか。

不安になるたびに、りさちゃんは、それを感じ取ったようにぎゅっと抱きしめてくれる。

「ねえ、ゆいちゃん。考えてること、わかるよ?」

耳元で、囁くみたいに声が降ってくる。

「自分ばっかり甘えてるって思ってるでしょ? ……それ、ぜんぶ勘違いだよ」

「でも……」

「でも、じゃない」

言葉をさえぎるように、唇が耳のすぐ後ろに触れて、ビクリと身体が跳ねる。
そのまま、静かに、けれど確かに囁かれる。

「ゆいちゃんが、わたしに甘えてくれるの。
それが、どれだけわたしにとって幸せなことか、まだわかってないでしょ?」

背中に当たるりさちゃんの胸の音が、ゆっくり、でも力強く鳴ってる。

「わたしはさ、誰かに必要とされるより、甘えてもらえるほうがずっと好きなの。だって、そこには信頼があるから。遠慮なんてしないで、好きなだけ頼ってよ。わたしは、ぜんぶ受け止めるって決めてるから」

もう――どうしようもなくなって、
わたしはそっと、りさちゃんの腕に手を添えた。

「……好き。ほんとに、好き。ねえ、もっと言って……もっと、甘やかして」

「うん、言う。何度でも言う。好き。可愛い。愛してる。ゆいちゃんが世界でいちばん大事」

優しい言葉が、ぽたぽたと降り続ける。

髪を撫でる指先。
頬に触れるぬくもり。
首に落ちてくる、柔らかくてほどけそうなキス。

「ねえ、ゆいちゃん。こんなこと言うの、変かもしれないけど……わたし、ほんとにゆいちゃんが可愛すぎて、時々、息ができなくなる」

「……うそでしょ」

「ほんと。寝顔見てるだけで、胸がぎゅってなる。声聞いただけで、あ……好き……ってなる。会えなかった日なんて、禁断症状みたいにそわそわして、頭おかしくなりそうだった」

「やばいじゃん……」

「やばいよ? やばいくらい、愛してるの。
もう、普通じゃなくてもいいって思ってる。ゆいちゃんを好きな気持ちが、わたしを形作ってるの」

そんなこと、言われたら――
もう、わたしの心が耐えられない。

「……ほんとに、無理ぃ……」

ついに、ぽろっとこぼれたその言葉に、りさちゃんがくすっと笑って、背中からさらに深く抱き込んできた。

「うん、そう言ってくれるの、待ってた」

わたしは目を閉じて、りさちゃんの声を聴く。
心の奥まで届いて、あたためられて、眠気に変わっていく。

「明日も、明後日も、来年も、その先も、ずっと一緒にいようね。甘やかして、甘やかされて、手を離さないまま」

「……うん、絶対に」

最後にもう一度、くちびるが頬に触れて。
わたしは理佐ちゃんの胸の中で、ゆっくりとまぶたを閉じた。

夢の中でも、この人の声が聴こえたらいい。
そう思いながら、
わたしは、ほんの少し涙ぐみながら、幸せの中へ溶けていった。








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りさちゃんがゆいちゃんをでろでろに甘やかしてる話が見たいですー!  


というリクエストでした


リクエストありがとうございます☺️

まだまだ募集中です、感想もお待ちしております


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Xはじめたらもっと色々な方とお話できるのかな

誰か仲良くしてくださる方いらっしゃいますか?



最後までお読み頂きありがとうございました



では、


またね*