小林由依×渡邉理佐(学パロ)
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桜の散り始めたこの季節
私の恋人が天国に旅立って4年が経った。
1つ年下の幼なじみで小さい頃から一緒にいたが
恋人として一緒にいたのは1年だけだった。
それでも充実した幸せな日々を過ごせたと思う。
1つ心残りがあるとすれば
もう一度最後に2人であの場所で花火を見たかったな
なんて思う。
そんな私は今年大学2年生になった。
あまり人付き合いの得意ではない私にもようやく心を許せる後輩ができた。
ひかる「理佐先輩お待たせしました!」
1つ年下の森田ひかる
小柄で人懐っこい末っ子気質の女の子だ。
元々は私の恋人のクラスメイトでたまに話すくらいだった。
しかし彼女が旅立ってからは元気の無い私によく話しかけに来てくれた。
学校を休みがちになっていた私の家まで来て学校に連れていこうとしてくれたり、諦めずに何度も何度も話しかけてくれたりした。
そんな日々をしばらく続けて私も少しづつひかるに対して心を開き色々なことと向き合うことが出来るようになった。
そして私は無事高校を卒業し大学に進学することが出来た。
ひかるもその1年後同じ大学に入学してきた。
ほんとにひかるには感謝しかない。
ひかる「なんかここの道を2人で歩くの未だに不思議な感覚です」
「私もだよ、なかなか実感わかないよね」
ひかる「由依ちゃんが亡くなってもう3年も経つんですね。」
「時の流れってはやいね」
今日はひかると2人でお墓参りにきている
1人では気持ちが追いつかない私にひかるは私も由依ちゃんに会いたいのでと言って毎年着いてきてくれている。
目的地に到着し
手を洗い清めて
手桶に水を汲んでお墓に向かう。
何度来てもなれない場所
一礼し、お墓の周りや墓石を掃除する
線香やお供え物を供え、2人で拝礼する。
ひかる「由依ちゃんもきっと理佐先輩が来てくれて喜んでますよ」
「だといいな」
私はひかるを置いて御手洗に行った。
鏡の前に立ち深呼吸をする。
やはり何度来ても苦しいし辛い。
でも、由依に逢えているような気がして気持ちが少し落ち着く気もする。
私は手を洗ってひかるの元に戻る。
ひかる「いいよ」
「ひかる1人で何話してるの?」
ひかる「いえ、なんでもないです。そろそろ時間も遅いですし帰りましょうか」
「そうだね、じゃあまた来るね由依」
その後軽く話して今日は解散した。
季節は夏になり、そろそろ花火大会の季節になった。
そして、いつも元気なひかるが3日間熱を出して大学を休んだ。
夏風邪なんて珍しい
「もう大丈夫なの?」
ひかる「はい、もう元気です。ご心配をかけてしまってすみません。」
「元気ならよかった」
しかし、ひかるはずっと下を向いている。
やっぱりまだ体調悪いのかな?
「ひかる、体調まだ、、」
ひかる「あっあの!」
「うん?」
突然大声を出すから驚いた。
ひかる「来週ある花火大会一緒に行きませんか、?」
なんだそんなことか、
なんか真剣な話でもされるのかと身構えていた私が馬鹿らしい
別に誘うなら普通にいつもみたいに誘えばいいのに
少しの疑問が浮かんだが
せっかくの花火大会だしひかると行くのもありだと思い了承した。
「うんいいよ」
ひかる「ふふ、ありがとうございます」
っ、、、
まぁ気のせいか
それから3日後
今日は2人でショッピングモールに来た。
「ねぇひかるこっちとこっちどっちがいいと思う」
ひかる「理佐先輩ならなんでも似合うと思いますよ。でもなんか、うーん強いて言うならこっちかな?」
服を買ったり
ひかる「なんだろうな、うーん、理佐先輩このクイズなんだと思います?」
通りでクイズを解いてみたり
何気にショッピングモールを満喫した。
ひかる「わぁ、理佐先輩見てください猫ちゃん、かわいい」
「あれ、ひかるって猫好きだっけ?」
ひかる「えっ?あっ好きですよ可愛いものはなんでも好きです」
「そっか、触らないの?ふれあい可だよ。」
ひかる「私猫アレル、、、そうなんですか!触ります」
うん?猫アレルギーって言おうとした?
ひかるも私も猫アレルギーじゃないはず、
まぁ普通に触ってるし言い間違いか
ひかる「うわぁ、もふもふかわいい」
猫の触れ合いを満喫し
色々買い物を済ませ
帰りに近所の駄菓子屋さんでアイスを買った。
外のベンチに座って2人で食べる
ひかる「んん、おいしいですね」
「うん、そうだね」
悩んだ時になんか、なんだろうなが口癖で
前髪を目にかからないようにするその仕草
そしていいかけてた猫アレルギーという言葉、、
今までのひかるにはなかったもの
見た目はどう考えてもひかる
でも、中身はきっとひかるじゃない…
ひかる「悩み事ですか?なんか眉間にシワよってますよ、ほら」
そういいひかるは私の顔に触れてきた。
その触れ方もひかるのものじゃない
「あのさ変な事聞くんだけど」
ひかる「どうしました?」
「君、ひかるじゃないよね?」
ひかる「っ、、、何言ってるんですか、理佐先輩。私はひかるですよ」
でも私はこの人物を知っている
ねぇそうなんでしょ、?
「そろそろ嘘つくのやめたら、、、由依」
ひかる「由依ちゃん?何言ってるんですか私はひかるで、、」
「もうバレてるよ、隠さなくていい」
ひかる「っ、、、どうして、なんでわかったの、」
そんなの何年貴方と一緒にいたと思っているんだ
「好きな人の癖、忘れるわけないじゃん」
『グスン、、』
「最後に会いに来てくれてありがとう」
『っ、グスン、、うん、、』
私は彼女を優しく抱きしめた。
しばらく抱きしめ合い私から少し離れるひかる
いや、今は由依か
『ありがとう』
「どうして、」
『うーん、私この世界に入れるのが今月で最後らしくてラストにあそこの花火大会一緒に行きたいなって思ってたらひかるがいいよって』
うーん、話がいまいちよく分からないが
今は2人がくれたこの時間を大切にしよう。
『ちゃんと、ひかるになったつもりだったんだけどな』
「いや、下手すぎ」
『むぅ、』
「もっとさ自分の癖を無くすとかさ」
『自分じゃ分からないんだもん』
その後はたわいもない話をして帰った。
翌日とうとう花火大会の日になった。
集合場所で待っていると少し小走りで彼女は現れた。
『ごめん、おまたせ』
「大丈夫だよ」
『どう?可愛いでしょ』
「ああうん」
『何その反応!』
なんて言うか話し方とか由依なんだけど見た目はひかるだからなんというか
『ひかる似合うよね、こういう色合いの浴衣。私の家からわざわざ取ってきたんだから』
ということは元は由依が着る予定だったのか
「きっと由依が着ても素敵だったよ、じゃあ行こっか」
『っ、、うん//』
私たちは軽く神社周辺の屋台を周り
少し離れた花火の見やすい場所へ行く。
私たちしか知らないいわば穴場スポットだ。
ちょうど私たちがそこに着いた瞬間に花火が始まった
『わあ綺麗だね』
そういう君の横顔はとても綺麗で
何故だろう隣にいる姿はひかるのはずなのに
今は姿も全て由依にみえる
やっぱり由依もこの浴衣とても似合っているよ
花火が打ち上がれば上がるほど終わりが近づいていく
ということは由依との時間も終わるということ
流れてゆく時間とこのままこの時間が続いて欲しいという抗えない気持ちとの葛藤が始まる
『ねえ理佐…』
ドーン
ドラマのように
花火の音と重なる君の声
一体何を言ったのか分からないけど満足そうな顔をしている君を見ると聞き返せなかった。
花火もフィナーレに近づきどんどんと花火が上がっていく。
花火を眺めていると私の左手がぎゅっと握られた。
私はその手を握りしめ返した。
最後の花火が打ち上がり辺りが急に静まり返った。
私たちはその余韻にひたる。
『終わっちゃったね』
寂しさ混じるの声色に胸がぎゅっと締め付けられる。
私は由依の右手を強く握る
『ふふ、こんな時間が一生続けばいいのに』
由依も私と同じことを思ってくれている嬉しさと切なさ
「続くよ、私の想いは今までもこれからも変わらない。」
『っ、、、ねえもし私に来世があるならまた私の事見つけてくれる?好きになってくれますか、?』
震えた声で言う由依から不安な気持ちが伝わってくる
「もちろんどこにいても私は由依を見つける。私は由依を愛してるよ」
『っ、、、ありがとう、、私も愛してる、、んっ』
「っん、、、」
『またね』
そういい由依は倒れた。
しばらくすると
ひかる「っうう」
「あっおきた?」
ひかる「由依ちゃんと話せましたか、?」
「うん、もちろん。ありがとねひかる」
ひかる「きっとお2人なら会えますよ」
「ありがとう。よし帰ろうか」
ひかる「はい」
あれから17年
私は教員になった
由依が密かに願っていた夢を私が叶えることにした。
今年から出身高に配属になり高校2年生の担任を務めることになった
明日から新学期、下見を後述に自分のクラスに向かう
懐かしい気持ちと新しい気持ちとともに教室に入る。
「あっ、、」
(っ、、!)
教室には1人の女の子がいてこちらをチラリとみて席に何かを入れ走って逃げてしまった。
特に気に止めることなく私は教室を見渡す。
懐かしいなこの教室
私のクラスは珍しく教卓から見て右から名前順で席が決まる。
そのため私の席は廊下側の1番後ろだった
そういえばあの子がなにか入れてたのもこの席だったな
ちらっと机の中を覗く。
「これ、、、」
私は走って屋上へ行く。
ガチャ
『ふふ、』
風に靡く綺麗な髪
私の心の歯車が動く音がした
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最後までお読み頂きありがとうございました
では、
またね*