「センオ(繊細夫)のこぼれ話」
涼しい季節になると
あっ、と思う瞬間がある。
クーラーを消しても過ごせる時間帯。
窓を開ければ、すうっと入ってくる気持ちのいい風。
「はぁ、幸せ~✨」
深呼吸をひとつ。
でも、ふと頭をよぎる。
──センオ(繊細夫)が帰ってきたら
この窓はすぐに閉められてしまうのだ。
外に漏れる生活音が気になって仕方ない彼。
子どもが生まれてからは、泣き声や笑い声までも
「近所迷惑では」と心配でたまらないらしい。
わたしは思う。
生活音くらい、よほどでなければ許されるはず。
でも彼には、だめなんだ。
繊細ちゃんの心には、許容の余白がない。
だからこの季節は、
気持ちのいい風と一緒に
小さなモヤモヤも運ばれてくる。