高村光太郎の詩「牛」


<牛はのろのろと歩く/牛は野でも山でも道でも川でも/自分の行きたいところへは/まつすぐに行く>。


動きは鈍いけれども、牛はまっすぐたくましく生きる。人間もそうありたいと思わせる。

 

<牛は非道をしない/牛はただ為(し)たい事をする>


<牛は判断をしない/けれども牛は正直だ>。



非道をしないにもかかわらず、殺処分を受けなければならないとは何とむごい仕打ちだろう。

宮崎牛の受難から口蹄(こうてい)疫の恐ろしさを思い知った。これほどの被害になるとは思いもしなかった。

 飼育農家の悲痛な声を聞くのはつらい。「必死で消毒してきたのに、どうしてこんなことに」「まるで生き地獄のようだ」。

家族の一員であり生活の糧であった家畜を失って、絶望のふちに立つ。

命を救うはずの獣医師が、命を奪う注射をしなければならない苦悩も伝わってくる。