初めての手術を経験

はっ…と気が付くと
病室のベッドの上にいました

よく見ると
駆け付けてくれた夫

心配そうに見つめる母

心配掛けてゴメンよ母… 来てくれてありがとう夫…
手術の結果を
夫がざっと説明してくれました

・捻転は無事に解除出来たこと
・細胞壊死はなく、卵巣は全部残せたこと
・中にあった卵はレーザーで全て焼き切ったこと
良かった
卵巣、取らなくて済んだんだ…
家族の泊まり込みは禁止されている為、
夫と母はそのまま帰る事に…

その日の夜は、
術後の痛みと息苦しさに大悶絶


私は一睡も出来ませんでした

次の日、入院2日目の朝

看護師さんに導尿を外してもらい

もう歩行練習を始めることに

人間の回復力ってスゴイです


そして入院3日目の朝

執刀してくれた先生が
回診に来ました

先生

「ぱんなさん、気分はどうかな?傷口は痛む?」
私

「まだ結構痛いです

先生

「血が滲んでるからテープ替えとこうか。ところで、ぱんなさん。」
先生

「…どうして不妊治療やめちゃったの?もう子供は諦めたの?」
私

「えっ…(



先生

「何かあった?」
そうだ。
ここはあの時と同じ病院だ。
私の過去の不妊治療のカルテが
残ってるんだ…
それを先生は読んだんだ…
私

「二年半ほど通いました。でも、やってもやっても排卵出来なくて…」
先生

「辛かった、か…」
…やばい。泣くな自分。
私

「やってもやらなくても排卵出来ないなら、もう自然に任せようと…」
先生

「うーん…自然にっていう気持ちは分かるけど、ぱんなさんは難しいと思う」
先生

「PCOSの人は治療しないと難しいよ」
私

「後は体外受精か手術しかないって言われて…卵巣に穴を開ける手術をするしか…」
先生

「うん、だから今回ついでにその手術もやっておいたから」
私

「は?」
先生

「レーザーで卵を焼灼したでしょ。その時に一緒に、穴を開ける手術もやったの」
私

「!!!!」
先生

「右も左も15ヶ所以上開けておいた。だからこれを機に治療再開してみない?」
右だけじゃなくて、左の卵巣も…?
先生

「子供、諦めてないんでしょ?」
私

「………」
先生

「ぱんなさんは医療の力を借りた方がいいと思う」
医療の力…
先生

「私も不妊治療センターの診察に出てるからさ。診てあげられるよ」
私

「そう…ですか…」
先生

「まだ時間はあるから、ゆっくり考えてみて。可能性はあるんだからね」
先生が病室から去った後
頭の中が真っ白になっていました
卵巣に穴を開ける手術を、やった…?
排卵できる…
可能性がある…
不妊治療を諦めたあの時

心の奥底に無理やり閉じ込め、
封印していたはずの気持ち…
「子供が欲しい」
その気持ちが次から次へと
とめどなく溢れ出し
いくつもの大粒の涙となって
ポタポタ、ポタポタと…
流れ落ちていきました