サムソンという人が旧約聖書に出てくる時代は紀元前1150年頃らしい。子供のころ読んだ聖書物語の挿絵には、盲目となったサムソンが神殿の柱を怪力で壊して、ペリシテ人という人たちを多数殺害しようとする様子が描かれている。その本は子供向けの絵本のような聖書物語だったので、そのあとの様子は描かれてないのだけれど、巨石の下敷きになった大人子供女男のペリシテ人とともに命をかけて彼らに復讐したサムソンの肉片が散らばった地獄絵図に本当はなったはずなのだが、そんなことは旧約聖書本編のほうも適当にさらっと流して、とにかく言いたいことは

 

  ------サムソン よくやった。宿敵ペリシテ人を殺して血祭にあげてくれた、やったやった。はははのは。

 

 

   そんなアホな話がキリスト教やユダヤ教が聖典とする旧約聖書に述べられているのである。そこから宗教的な何を学べというのかしらないが、サムソンは上の映画のヒロインであるデリラに夢中になったあげくにペリシテ人の手におち、両目をえぐられて、ガザの牢で粉をひかされるのである。往年の筋肉スター、ビクターマチュアはありえない巨大な石の粉ひき機を一人で押してひいているのであった。

 

  そしてその牢がガザにあったというではないか。歴史ではペリシテ人は紀元前800にはイスラエルに滅ぼされているので、今のガザにいる人たちとつながっていないということだが、この土地で常に殺し合いがあって現代まで続いていることは間違いない。ペリシテ人はパレスチナ人の語源ともいわれている。

 

  昔大学生だったころ、友人の一人でUFOとかすきだった奴がいて、宇宙人はすでに地球のアメリカ大統領なんかとコンタクトしているなんていう話をしていた。(トランプさんも宇宙人と会ったのかな。)その友人いわく、宇宙人たちは中東に注目しているのだそうだ。あそこのように常に戦争しているところがまず平和にならなければ人類の未来はないとか言っていたらしい。そういうトンデモ話であるが、あそこが常に戦争に満ちていたことは確かであり、ノーベル賞を輩出していたりアメリカの財界を牛耳っているユダヤ人という人たちが、まるで地上の物質世界の覇者であってなにか強烈なパワーを集中させている民族なのかなと思ったりもする。逆にホロコーストという、ユダヤ人の悲劇もまた、本当に人がしたこととは思いたくない恐ろしい殺戮の罪を人が本当にしてしまったという歴史の事実として刻まれてしまったのだった。

 

 一昨日だったか、イスラエルが4人の人質を救出するためにガザで270人一般人を含めて殺してしまったというニュースがあった。サムソンの話のように。同朋のためにたくさんの人を殺す英雄的な行為。中東で戦いが起こるたびに、僕はこの戦いが何千年も前からあの地をめぐって繰り返されてきたことと、サムソンの物語を思い出し、それはもう人の心の制御可能性を超えて、わからないくらい力強いなにかの怨念によって終わりなくリピート再生されてしまわざるを得ないものを感じる。神話から何を学べというのだろう。同朋のために戦う正義だろうか。そんなものに意味があるとは思えない。