私の大学は日大芸術学部で、
受験に歴史や社会の科目がなかった。
そもそも丸暗記が大嫌いで
今だに漢字が大の苦手なあたし。
まったく世界も日本も社会科にあたることが
非常に疎い。
丸暗記以外なにものでもないと思っていたから、
特に歴史は。
ところが社会に出た時
(大学卒業してすぐだから、22歳)
すごく自分の社会常識が不安だった。
新潟の放送局にアナウンサーとして入った。
入ったはいいけど、地方局は記者も兼任しなくちゃいけなくて、
新潟の常識と、社会の常識、人の常識をいっぺんに
覚えなくちゃいけない上にアナウンサーとしての
技術ももちろん学ばなくちゃいけなかった。
そんな折。
当時30代後半の記者の先輩で
すごく頭が良くて、
私には理解できないニュースをすごくわかりやすく
教えてくれる先輩がいた。
水俣病の話。
県政の話。
干ばつのこと。
日本の農業のこと。
原発のこと。
彼の説明でこんなにニュースがわかるのならば
視聴者にとってもすごくわかりやすいニュースになるんじゃないかと思って
その先輩がニュースの解説をテーマを決めて紹介するコーナーを
作ってくれれば絶対喜ばれると思うって、
飲んだ席でお願いしたことがあった。
その時には
「ぼくが知っているようなことは常識だから
改めて、解説なんかする必要ないよ」と言われた。
(まあ、暗に「君は何も知らないでマスコミに入ったんだね」って
言われてるようなものなんだけど)
あたしは自分の知識や常識に自信がなかったので
そのまま、
「そうか~、T先輩に解説してもらって、なるほど~と
思うのは自分だけなのか~。みんな知ってることなんだ~」と
あっさりと引き下がっていたわけね、その時。
今になってみて
あたしがその時、権力があって政治力があって
企画力があり、ベテランなら、
彼の「新潟県の誰でもわかるニュース」を企画して
デスクや編成に通して
きっと地方の名物コーナーになっていただろうにと思う。
まあ、二十歳やそこらの常識もない新入社員にそんなこと提案されて
きっとその時の先輩としては
「苦笑」って感じだったんだろうな。
でもチェ・ゲバラだって革命を起こした時は
確か20代だったはず。
そんな胆力がなかった自分が残念。
知っているようで、
ちゃんと子供にもわかるように解説したのが、
池上先生。
で、大人がそんなにしっかり世の中のことをわかってるかと言えば
そうでもないんだって
40過ぎてやっと実感。
その当時の先輩の年齢をたぶん超えてしまっているけれど、
あたしはまだその時の先輩ほどちゃんと後輩に教えてあげられることが
ないように思う。
そんなところから、池上先生の本を読みあさるように。
すると社会情勢って
まるで、マンガか映画のように
面白いのね。(面白がってはいけないことはいっぱいあるけど)
年号を覚えなくくては意味がないと思っていた
学生の時の社会や歴史が悔やまれる・・・・。
あの時もっともっと、人の営みの継続、
あるいはドラマとしての歴史を学んでいれば
スタートが違っただろうに。
(と、人のせいにすることからして
もう違うんだろうな~)
T先輩はお元気かな~。