三たび吾輩である。
そろそろ名前をつけてくれるだろうと思っていたのに、近頃主人は吾輩のことを「わがはい」と呼び出した。
そのまんまではないか。
何とズボラな主人であろうか。
しかもである。
こいつは前に連れてきた「動く」子のような特技もなさそうである。
一日中、床でそっくり返っているだけだ。
当然、ヘレンには見向きもされない。
もはや吾輩は新入りではなくなってしまった。
そういえば・・・
こんなに仲間が増えては、先輩としての意地を見せねばならぬ。
見よ!
吾輩がヘレンと遊んでいる勇姿を!
何のことはない。
ヘレンが遊ぶ「ヒモ」を遠くへ飛ばすのが吾輩の役目らしい。
要するに、錘(おもり)だ。
仕方あるまい。
これが吾輩の猫生なのであろう。




