「なぜ日本では、若い世代が生きにくい社会になっているのだろう?」

高い税金。

高い社会保険料。

上がりにくい給料。

高くなった住宅価格。

教育費や子育て費用。

そして、将来の年金や社会保障への不安。

こうした問題を考えていると、「なぜ政治は若者のために、もっと大きく動かないのだろう」と疑問に感じる人も多いのではないでしょうか。

その理由を考えるとき、非常に重要な数字があります。

それが、年代別の選挙投票率です。

若者と高齢者では、投票率が大きく違う

2024年10月27日に行われた衆議院議員総選挙の年代別投票率を見ると、年齢によって大きな差があることが分かります。

東京都のデータでは、

18歳 50.43%

19歳 40.77%

20歳代 37.93%

30歳代 48.93%

40歳代 56.31%

50歳代 61.60%

60歳代 68.09%

70歳代 70.34%

80歳代以上 52.10%

となっています。

特に目立つのが20代です。

20代の投票率は37.93%。

一方、

60代は68.09%。

70代は70.34%。

実に大きな差があります。

全国の年齢別調査でも、同じ傾向が確認されています。

例えば三重県津市の2024年衆院選の調査では、20~24歳は30.12%、25~29歳は37.55%だったのに対し、60~64歳は66.15%、65~69歳は69.85%、70~74歳は71.07%でした。

つまり、

若い世代ほど投票に行かず、年齢が上がるほど投票する人が増える。

これが現在の日本の選挙における大きな特徴です。

政治家から見れば「投票する人」が重要になる

ここで、政治家の立場から考えてみましょう。

政治家の最大の目標の一つは、選挙に当選することです。

どれだけ素晴らしい政策を考えても、選挙で負ければ政治を実行することはできません。

そうなると、政治家は当然、

「誰が投票してくれるのか?」

「どの世代が選挙に来るのか?」

を意識することになります。

例えば、ある政策によって100万人の若者が喜んだとしても、その若者の多くが投票に来なければ、選挙結果には直接つながりません。

反対に、政策によって100万人の高齢者が支持してくれ、その多くが実際に投票してくれるなら、政治家にとって非常に大きな意味を持ちます。

もちろん、政治家が「投票率だけ」で政策を決めているわけではありません。

経済、財政、地域、業界、外交、安全保障、世論など、さまざまな要素があります。

しかし、

「投票に来る可能性が高い世代を意識する」

という選挙の構造そのものは無視できません。

実際の「票の数」で見ると、さらに分かりやすい

東京都の2024年衆院選では、年代別の投票者数は、

20代 約61万人

30代 約84万人

40代 約110万人

50代 約130万人

60代 約97万人

70代 約94万人

80代以上 約59万人

でした。

ここから、

若者=10~30代

働き盛り=40~50代

高齢者=60~80代以上

という3つに分けて考えてみます。

現在の投票者数は、おおよそ、

若者 約155万人

働き盛り 約240万人

高齢者 約251万人

となります。

つまり、若者の投票数は高齢者の約6割程度しかありません。

若者の人口が少ないからではありません。

投票率が低いことが大きな理由です。

これは「若者が悪い」という話ではない

ここは非常に重要です。

若者が政治に関心を持たないのは、若者だけの責任なのでしょうか。

私は、そう単純には考えられないと思います。

仕事が忙しい。

子育てが忙しい。

政治の話が難しい。

自分が投票しても何も変わらないと思っている。

候補者の違いが分からない。

政治に対する不信感がある。

こうした理由で投票所から遠ざかっている若者もいるでしょう。

そして、若者からすれば、

「どうせ自分の一票では何も変わらない」

と思ってしまうのも無理はありません。

しかし、ここに大きな落とし穴があります。

一人の若者の一票だけを見ると小さく見える。

ところが、数百万人の若者が一斉に投票すれば、とてつもなく大きな政治的パワーになります。

若者の投票率が70%になったらどうなるのか

ここでシミュレーションしてみます。

東京都の2024年衆院選で、10~30代の有権者は約355万人でした。

現在の投票者数は約155万人。

これが仮に、

投票率70%

になったらどうなるでしょうか。

約355万人 × 70%

= 約249万人

です。

現在の約155万人から、

約94万人も投票者が増える

ことになります。

すると3世代の票は、

若者 約249万票

働き盛り 約240万票

高齢者 約251万票

となります。

これは非常に大きな変化です。

現在は、

高齢者 約251万票

働き盛り 約240万票

若者 約155万票です。

ところが若者の投票率が70%になると、

高齢者 約251万票

若者 約249万票

働き盛り 約240万票となります。

つまり、

若者・働き盛り・高齢者の3世代が、ほぼ同じ規模の票を持つことになります。

政治家から見れば、若者を無視できなくなる

ここが一番重要なところです。

現在、若者の投票率が低い状態では、政治家にとって若者向け政策を打ち出す政治的メリットが十分に発揮されない可能性があります。

ところが若者が70%投票する社会になったらどうでしょう。

約94万票が新たに選挙に加わります。

しかも、その票は若者世代という巨大な有権者集団から出てきます。

政治家から見れば、

「若者の政策を軽視しても大丈夫」

とは言いにくくなります。

むしろ、

「若者から支持される政策を出さなければ選挙で勝てない」という状況に近づきます。

もちろん、若者全員が同じ政党に投票する必要はありません。

むしろ、それは民主主義ではありません。

重要なのは、

若者一人一人が自分で政策を比較し、自分の意思で投票することです。

団体票の影響も相対的に小さくなる

日本の選挙では、政党や候補者を組織的に支援する団体の存在もあります。

こうした組織は、選挙の際に一定数の票をまとめる力を持っています。

しかし、若者が投票に行かなければ、その分だけ相対的に組織票の存在感が大きくなります。

反対に、若者が大量に投票するようになればどうでしょう。

若者が70%投票するシミュレーションでは、若者だけで約249万票です。

これは高齢者60~80代以上の約251万票とほぼ同じです。

つまり、

「組織票に勝つ」というより、「投票する若者が増えることで、組織票の相対的な影響力が小さくなる」ということです。

これは非常に重要なポイントです。

民主主義では、団体票を否定する必要はありません。

団体に所属する人にも当然、一人一票の権利があります。

それと同じように、若者も一人一票を持っています。

問題は、

その一票を使っているかどうかなのです。

「若者に不利な社会」は投票率だけでは説明できない

ここも冷静に考える必要があります。

日本の社会が若者にとって厳しくなっている原因を、すべて投票率だけに求めることはできません。

少子高齢化。

人口構造。

経済成長率。

企業の賃金政策。

社会保障制度。

財政赤字。

グローバル化。

技術革新。

さまざまな要因があります。

しかし、選挙投票率を見ると、

「若者の政治的な影響力を自分たち自身が十分に使っていない」

という問題が見えてきます。

政治家が悪い。

政府が悪い。

高齢者が悪い。

団体が悪い。

そうやって誰かを責めるだけでは、社会は変わりません。

自分たちが持っている最大の政治的権利、

「一人一票」

を使うことが必要です。

「一票では変わらない」は本当なのか

一人だけなら、確かに選挙結果への影響は小さいでしょう。

しかし、

10万人。

50万人。

100万人。

数百万人。

の若者が同時に投票すれば話はまったく違います。

先ほどの東京都のシミュレーションでも、若者の投票率を約44%から70%にするだけで、

約94万票

が新たに加わります。

これは「一票では何も変わらない」という話ではありません。

一人一人の一票が積み重なった結果が、選挙そのものを変えるのです。

政治を変えるのは政治家だけではない

政治を変えるのは政治家だけではありません。

有権者も政治を変える力を持っています。

むしろ選挙では、

「どの政治家を選ぶか」

という最終決定権を持っているのは有権者です。

だからこそ、

「政治家が何とかしてくれない」

と嘆くだけではなく、

「自分たちは何票を持っているのか」

を考える必要があります。

若者が投票率70%になれば、若者の票は高齢者とほぼ同じ規模になります。

そうなれば、政治家にとって若者は「投票に来ない世代」ではなく、

「絶対に無視できない巨大な有権者層」
になります。

最後に――若者の未来を変えるのは、若者自身の一票

年代別の選挙投票率を調べると、日本社会の一つの構造が見えてきます。

若者ほど投票率が低い。

年齢が上がるほど投票率が高くなる。

その結果、実際の選挙では高齢者や中高年の票が大きな割合を占める。

政治家は選挙で選ばれます。

そして政治家は、選挙で支持してくれる人たちの声を無視することが難しくなります。

だからこそ、

「若者のための政策が少ない」

と感じるのであれば、まず若者自身が選挙に行く必要があります。

若者が投票率70%になれば、今回のシミュレーションでは約94万票が新たに加わり、若者の投票数は約249万票。

高齢者の約251万票とほぼ互角です。

これは決して小さな力ではありません。

だから、次の選挙ではぜひ、周りの若者世代の人たちにこの仕組みを話してください。

「政治家は誰に投票してもらえるかを考えて政策を作る」

「若者が投票しなければ、若者の票は政治家から見えにくくなる」

「でも若者が一斉に投票すれば、数百万人という巨大な政治的パワーになる」

ということを伝えてください。

そして、誰に投票するかは一人一人が自分で決めればいい。

大切なのは、投票することです。

若者が投票所に行けば、政治家は若者を無視しにくくなる。

若者が増えれば、政治の優先順位も変わる可能性がある。

そして何より、

「自分たちの未来を、自分たちの一票で決める」

という意識を持つことです。

社会は、誰か一人の力で変わるものではありません。

一人が投票する。

その一人が友人に伝える。

友人が投票する。

さらにその人が別の若者に伝える。

その小さな行動が何十万人、何百万人と積み重なったとき、初めて大きな政治の力になります。

次の選挙で、周りの若者世代にこの仕組みを伝えてください。

「あなたの一票は、あなた自身の未来を決める一票だ」と伝えてください。

そして、一人でも多くの若者を投票所へいざないましょう。

若者が政治に参加すれば、社会は変わる可能性があります。

政治を変える力は、政治家だけが持っているのではありません。

私たち一人一人が持っている「一票」こそが、その力なのです。