レンタルで「ミケランジェロの暗号」を観ました。
ミケランジェロの絵画に隠された謎があるかと思いきや、そういう映画ではありません。
ナチスの時代。ユダヤ人を主人公にした映画です。
ウィーンで画廊を営む主人公ヴィクトルの父親。
自宅の隠し部屋にあるミケランジェロの作品を、親友であり 家の使用人だった息子のルディに見せたところから物語は急展開を見せる。
この後すぐにルディはナチスの親衛隊SSに入隊し、上司と共にヴィクトルの家にがさ入れに入る。
二人ともオーストリア人なのですが、ヴィクトルはユダヤ人、ルディはそうではありません。
ユダヤ人一家のヴィクトル家には抗う術がありません。
しかし、隠し部屋にある筈のミケランジェロの絵が無かった・・・。
というような、物語の導入です。
25年以上も一緒に育った親友(だと片方は思っていた)を、親友の一家を裏切るかね・・・。
大袈裟ですが、”支配する側”と”支配される側”では同じ時を同じ場所で過ごしても感情は違うものなんでしょう。それが、生まれた時から一緒に居た相手でも。
自分が手に入れられないものを幾つも持っている相手が ずっと傍に居る。
それは苦痛なのでしょう。
それを手に入れるには才能や努力や運・・・等 色んな味方が必要です。
だけれど、この映画でルディが味方につけたのは”裏切り”というカードでした。
この裏切りで生死をも左右する、人間の尊厳まで奪ってしまう、そんな事態に追い込む程 憎しみや嫉妬に駆られていたのかと思うと どんな風に二人は幼少期を過ごしてきたのだろうと悲しくなります。
ヒトラー時代の凄惨な内容、というよりは こうした人間ドラマにフォーカスされた作品だと思います。
暗号という割に、お父さんからのヴィクトルへの伝言を聞いてすぐに絵画の在り処は想像に難くないので、謎解き映画とも言い難い。