ボンジョビ!!!(*゚▽゚)ノ(挨拶
つづきです☆
多香子ちゃんからザイルの本心を探ってほしいとの命を受けザイルバーへ向かった私。
正直なところ本心というかザイルにとって多香子ちゃんが無理な理由を聞くのが目的でした。
『下ネタ言われないのは悪い事かもしれない』
多香子ちゃんの表情からも明らかでしたがダメそうな時の勘って大抵当たってるんですよね。
多香子ちゃん本人も無理だと本当は気付いてるはずで、だから私は無理という結果だけじゃなくあわよくば無理な理由も聞き出して、必要そうな範囲で多香子ちゃんに伝え、先に進んでもらおうと思っていました。
で、聞き出し方。
カウンターでチビチビ飲みながらさり気なく探ろうかとも思ったのですが、バーはあれで結構繁盛してるので時間を確保できないかなぁというのと、下手にこちらの狙いがバレて尻切れとんぼになったらザイルに警戒されて後日改めて聞こうとしても体のいい答え(ん~、まぁ多香子ちゃんかわいいよね~的などっちつかずな答え)が返ってきて終わりかねないことを危惧しまして、奇襲攻撃に出ることにしました。
ザイルには申し訳ないけど羽生さんの相談がしたいと嘘をついて酒も飲まずにLINEだけ交換してバーを後に。(ごめんねザイル
その後のやり取りで翌々日土曜の午前10時に都内某所で待ち合わせの約束をしました。
当日、待ち合わせ場所でザイルを待ちながら展開をシミュレーション。
ザイルはユカちゃんの恋愛相談とでも思っているので呑気にコーヒーでも飲んでいるところに『ザイルって多香子ちゃんの事どう思ってるの?』と不意を突く。そして顔色を注視する。
多少荒いけど回りくどくいったってその間に考える隙を与えちゃうからね。
顔色さえ押さえちゃえば誤魔化されたって突っ込めるし、全部は話してくれなくても無理な理由の2割はゲットできる。多分。
あと話を聞くからには私は中立の立場であって、あなたの印象を悪くするようなことはしませんよって雰囲気を出す。
よし!単刀直入にいくよ!!
「うぃー。お疲れ!」
来た!
香水くせぇ。そしてなんかコワイ。
私「せめてサングラス外しません?」
ザイル「太陽が眩しくて(笑)」
ドラキュラかよ。
私「喫茶店でいいですか?」
サングラスを外しながら「ホテルでもいいよ♡」と軽口を叩くザイルをニッコリ黙殺して駅近の喫茶店へ。
店に向かいながら初めて気付いたんですけど、ザイルってかっこいいのね。
男女問わず道行く人が必ずザイルを一瞥していくんですよ。
中には荒野に咲く一輪の花を見つけたかの如く瞳孔を広げる女子までいましたからね。
それで試しに私もまじまじと顔を見てみたんですけど、やはり押尾学系チャラ男にしか見えませんでしたよね。あと目ヤニついてたよね。
私「寝てないんですか?」
ザイル「うん、店終わったのが6時でそのあと人と会ってたからね」
私「大変ですね~」
ザイル「客商売だからね~」
ちゃんと働いてるんだなー、うんうん。←上から
喫茶店のテーブル席に着いてお互いコーヒーを啜る。
昼間という事もあり、なんかお見合いっぽいな・・・いや、こんな人いないか、とか思ってたらザイル、眉間に皺を寄せて指でグイグイやり始めました。その姿はちょっと『考える人』みたい。
頭でも痛いのかな・・・
思えば寝てないのに私の恋愛相談に付き合ってくれようとしてるんだよなぁ・・・案外良い人なのかも。
ちょっとだけ良心がチクチクして、せめて頭痛薬でもとバッグの中をゴソゴソしていたらザイルから福山雅治の声がしました。
「○カップ?」(胸
それ考えてたんかい!しかも当たってるわ気持ち悪い。
ザイル「当たった?当たったでしょ?」(心底楽しげ
うん、今だな。
私「ザイルさんて」ちょっと間を空けて「多香子ちゃんのこと苦手ですよね?」
ザイル「えっ!?」
こっちがビックリするぐらい狼狽。目が泳ぎに泳いでるわ
ザイル「いやっ、苦手ってわけじゃ・・・!!」
私「(^^)」
ザイル、取り繕うには遅いと悟ったようにテーブルに突っ伏。しばらくしてから顔を上げ、口を開きました。
ザイル「多香子ちゃんのことは苦手じゃない」
私「? うん」
ザイル「多香子ちゃんのお父さんが苦手」
お父さん???
私「知り合い?」
ザイル「会ったことはない。多香子ちゃんのお父さん何やってる人か知ってる?」
私「なんか手広く色々やってるとは聞きました」
ザイル「うん」
ザイルから聞いた話をざっくり説明するとザイルは、多香子ちゃんのパパが幅広く手掛けているビジネスのひとつの顧客のようなものであり、ザイルの言うようにパパとはまだ面識はないけれど、うっかり多香子ちゃんに変なことをすれば多香子パパとザイルの間にいる人が怒ってまず無事では済まされないだろうと。
※パパはヤクザではありません。
ザイル「びっくりした。多香子ちゃんの苗字って珍しいじゃん。名刺もらった時に〝まさかな〟とは思ったけど念のため人に聞いたらガチで娘さんだったんだもん。血の気が引くって俺初めて経験した」
真顔でビビるザイル。
ザイル「ってかそういう話?もしかして今日その話だった?」
私「うん(笑)」
ザイル「うーーーーわ・・・」
マジか・・・と天を仰ぐザイル。
苦渋に満ちた細めた目から、私の株価(信用)が急落しているのが窺えました。
私「念のため言っておきますけど、私はどちらの味方ってわけでもないので」
ザイル「うっそだー!多香子ちゃんになんか頼まれたんじゃないの?」
私「脈がないなら諦めたいって言ってた」
ザイル「俺は絶対、ダメ。」
断固たるNO。
多香子パパが理由っていうのは使えなそうだな・・・。
私「パパ以外に、恋愛対象じゃないとか性格が合わなそうとか、なんか話してくれればザイルさんの印象が悪くならないよう配慮して伝えておきますよ」
ザイル「ハイリョってなに?」
本当に大丈夫なの?と疑うザイルに大丈夫だからと言葉を尽くしたところ、ザイルのユカ不信任案は完全には拭いきれなかったようですが、
ザイル「じゃあ逆に俺がユカちゃんに相談するわ。俺を助けてくれ」
と情に訴える作戦に出てきました。
ザイル「多香子ちゃんて俺のこと結構マジで好き?」
私「うん(笑)」
ザイル、「あああああぁぁぁぁあぁぁぁ・・・!」って頭をぐしゃぐしゃ掻きむしったあと眉間に手を添えて本当に〝考える人〟になっちゃいましたよね。
ザイル「俺が多香子ちゃんを好きじゃない、って言っちゃうのはダメ、絶対」
こわいんだね・・・パパが。
ザイル「ザイルさんサイテー!!ってなるような何かがないと」
私「それはいいね!」願ったり叶ったりの申し出です。
ザイル「うーん・・・」
テーブルの下で小刻みに貧乏ゆすりしだすザイル。
ザイル「わかった。俺は、ド変態。」
私「知ってます(笑)」
ザイル「多香子ちゃんは知らないでしょ?まぁでも普段がアレだからパンチに欠けるか・・・」
こうしてド変態を皮切りにザイルの悪事告解タイムに突入しました。
悪事はかわいいものから笑えないレベルのものまで豊富に取り揃えてあり、『これは!?』『よし、じゃあこれだ!』とスネの傷の叩き売りかって勢いで白状してました。
しかし残念なことに私にとってはドン引きものでも多香子ちゃんの手にかかればどれも『武勇伝☆』くらい勘違いして恋の炎に油を注ぐんじゃないかと思えるもので決め手に欠けました。
表情が晴れない私を見て「もっと悪いことしておくんだった・・・」とため息をつくザイル。「本当に俺はドエロイんだって・・・」
悲痛すぎるドエロ宣言(;´д`)
片や『下ネタ言われたい』と涙目になって片や『俺はドエロイ』と涙目になって、多香子ちゃんとザイルって付き合ったら案外良いカップルになるんじゃないかと思っちゃいましたよね。
私「ていうか彼女いるんじゃないんですか?それ言っちゃだめ?」
報復がこわいの?
私「スネの傷より心に決めた人がいるんだ!って言った方が響くと思うんですけど。多香子ちゃん逆上するような子じゃないから大丈夫ですよ」
こう言ったらザイル『???』って顔して驚くべきことを言いましたよね。
ザイル「俺、嫁いるよ?」
YOME??
私「結婚してるの?」
君みたいなスケコマシが???
ザイル「あれっ?ハブちゃんから聞いてない?」
私「聞いてないわ!」
てか奥さんどんな観音菩薩
ザイル「小学校の同級生。もう10年だよ」
それも 10th アニバーサリーかよ!おめでとうかよ!!
てか
私「それを早く言えし」
ザイル「知ってると思ってたし!えっ、これでOK?大丈夫そう?」
私「うん」
ザイルの長所は、ここで『なんだよ、色々白状することなかったじゃん』とは言わず『ありがとう!!よろしく!!!』と言える単細胞気持ちの良いところですね。
多香子ちゃんには後日報告しました。
知らないうちに不倫していた過去にいたく傷ついていたので、
「ザイル、既婚者だったよ・・・」
と告げるのは胸が痛みましたが既婚者であること以上に多香子ちゃんの背中を前に押してくれるファクターはないので。
あと多香子ちゃんのお父様の件には触れなくていいな、と考えていましたが
多香子「なんで私だけにあんなに表情が硬かったんだろう・・・」
としきりに気にしており、結婚してる事と表情の硬さはどこをどういじっても結びつきそうになかったので結局言いました。
またパパかぁ〜とボヤく多香子ちゃんを見ていたら、22歳の多香子ちゃんに手を出した不倫男って今生きてるのかな・・・と背筋が薄ら寒くなりましたよね。
そして時は流れ夏休み明け、久々に多香子ちゃんに会ったら、
多香子「今ホストクラブにハマってる♡」
とか言い出したので、やつれて落ち葉の幻影が見えてこないか週1くらいで会って監視してる今日この頃です。
多香子の恋 完