今日お昼にロッテリア行ったんですけど、尿意を催してたんでプレートで席だけ取ってまずお手洗いに行ったんですよ。
で、戻ってきたらさっきは空席だった私の隣の席に感じの良い三十代の男性が座ってたんですよ。
仕立ての良いスーツに凛と伸びた背筋、整髪料をつけなくてもまとまっている黒髪、知性を感じさせるシルバーフレームの眼鏡、そして、
ほのかに香る柔軟剤の匂い。←ツボ
みなさん、ふるポテって知ってます?
ポテトが紙袋に入ってて、食べる前に紙袋ごと振って注文時に選んだフレーバーをポテトに行き渡らせるって代物でこれ美味しいから大好きなんですよ。
ユカ、久しぶりにロッテリア来たんでね。
そりゃあ、ふるポテつけますよね。
でもこの代物、振るとき結構大きな音がするんですよ。ガシャガシャガシャガシャ!って。
もうお気付きの方もいらっしゃるかと思うんですが、私って人の目を気にしてなんぼのスタンダードじゃないですか。世間体を気にして婚活始めたくらいですから。
よってガシャガシャガシャ!の音も人の目、いや人の耳を気にせずにはいられないんですわ。
となると、この状況で私が真っ先に気にするのは隣の爽やかさんの耳ですよ。
ふるポテが大好きである故、私には振り方に流儀があります。
縦に10回、紙袋を逆さにしてまた縦に10回、右斜めに5回、逆さにして左斜めに5回。
同僚云くこれって振りすぎらしいんですよね。お前どんだけ(笑)って失笑されましたから。
ということはですよ。
隣の爽やかさんだって同じように失笑するかもしれないわけじゃないですか。
この女腹減りすぎw
必死かよw
とかなるかもしれないわけじゃないですか。
ユカ恥ずかしいっっっ!!
しかもですよ、昼時なのに私の他にふるポテ頼んでる人いないっぽいんですよ。
いや、いるかもしれないけどもう振り終わったあとかもしれなくて、とにかく今この瞬間振りたい人は私しかいないんですよ。
さらに不運なことに周りは一人客しかいなくて、みんな静かなんですよ。
フロアに20人くらいいましたけど人っ子一人言葉を発していない。
もっと都合が悪いことに、爽やかさん含めおよそ半数がノートPC開いて仕事、もしくは参考書開いて勉強してるんですよ。
この状況でポテト振るってもう、騒音以外の何物でもないわけで。
当然、ガシャガシャうるせーなって視線の集中砲火を浴びることになると思うんですけど、私に背を向ける形で座っている人もいますんで、そういう方たちからすれば音の発信源は
「うしろのあの辺の位置」
という認知になるわけで、あろうことか隣の爽やかさんも『ガシャガシャしてるヤツ』の括りに入れられてしまうわけですよ。
となるともう、この女腹減りすぎw どころの騒ぎじゃなくて、彼の心の中は
『チッ、うるせーな!!!』
『僕じゃないんです!!!!!』
の大合唱になってしまうわけですよ。
私に残された道は二つ。
①音は大きいが短時間でダイナミックに振る
②時間はかかるが音を抑えるため小刻みに振る
これ、料理する人はわかると思うんですけど、フライパンを使った料理(炒めもの)を思い浮かべてみてください。
②にはフライパン料理と同じデメリットがあって、
・味付け(フレーバー)が行き渡らない可能性が高い
・素材(ポテト)がしなびる(フニャる)
そして、最大のデメリットは、
・ユカの性格上長時間振れないであろう
ということで、振る時間が変わらないのならいっそダイナミックにいこうという結論に達し、振りました。
ガッシャガシャ言わせました。
もう、陳さんの中華鍋かユカのふるポテかってくらいダイナミックに振りました。
流儀の短縮版で、ひとつの工程を半分の時間に押さえ、
全工程を終わらせました。
―――。
直後、あることが頭に浮かびました。
ふるポテのフレーバーって、最初から紙袋に入れられてるんだっけ、それとも個別包装で渡されるんだっけ―――。
私はすぐさまトレーの上に目を走らせました。
―――。
結論、もう一度振りました。
久々だったから忘れてたんですよね。フレーバーは別で、振る前に自分で紙袋に入れなきゃいけないってこと。なんか店員さんが入れてくれてるって勘違いしてたんですよ。
まさかの2度目は選択肢②の超ショートバージョンで振りました。
私があれだけ満を持して振ったのはただのポテトで出来上がりも最初となんら変わりないただのポテトで、つまり私はただ無意味にポテトを振っただけだったと惨めな気持ちを噛み締めながら。