「燕は戻ってこない」第1話


期待以上でした。すごいものを見たって感じ。


桐野夏生が描くのはいつも女性たちの「怒り」。



「一度でいい、腹の底から、金と安心が欲しい」


手取り14万で東京で一人暮らしの

大石理紀(石橋静河)、

「外食」と言って、コンビニのイートインで

カップ麺とおにぎりたべるのが「贅沢」

同僚のテル(伊藤万理華)はもっと酷い、大学の学費と親が生活費の分上乗せして借りた「奨学金」の返済があり、

風俗でも働いている。


「精一杯生きてるのにどうしようもない」毎日。


「毎月無駄に流れてるものが金になるんだよ。

一度くらい女で得したって笑お」


かたや、

世界的バレエダンサーの

草桶基(板垣吾郎)と妻悠子(内田有紀)

には、子どもがいない。

基は、優秀なサラブレッドである、

自分の遺伝子を残すことが

何より大事と考える優生思想。

妻は不育症で子供は望めない。


薄暗い蛍光灯が切れかかってる部屋と

大きな窓の真っ白の部屋、

あっち側の女、こっち側の女。


リキの暮らしは見ていて胸が痛くなるほど。

気味悪い隣人に嫌がらせされてて、

忘れて行った弁当を食べられて、

次は「あんたのたらこ入れてくれよー」キモっガーン酒向さんやりすぎ〜笑


リキは、前に一度中絶していて、

毎月生理が来るたびの虚しさ。

女で良かったことなんて一度もない人生。


ただ毎月無駄に出てる「卵子」を

お金に変えて何が悪い。

女に生まれて得したって思おうよ!と、

卵子提供ビジネスを一緒にやろうとテル。


献血と一緒だよ。と。


いやいや、違うでしょ。とは、思うけど、

余裕のない暮らしが思考を停止させる。


草桶家は、サラブレッド。

バレエダンサーの遺伝子を絶やすわけにはいかない。

妻の悠子を大事にしているけれど、

自分の遺伝子を残すためなら、

悠子が妊娠できないなら、

他の女性の卵子でも構わないと考える

基。

深く傷ついてる悠子。

吾郎ちゃん絶妙に嫌なやつ〜笑

バレエダンサーぴったり!

石橋静河は、怒りを含んだような不貞腐れた生活に疲れた女性をすごいリアリティで演じてる。


抉られる女たち。

搾り取られる女たち。

容赦ない桐野夏生節。


これはすごいドラマになりそうです。


10回あるのも嬉しい。


てか、石橋静河こそ、

サラブレッドだよね〜。

無表情で怒ったような、疲れ切ってる感じがうまい。

テル役の子の破れかぶれな感じも、リアル。いいね。


そして、超優生思想の基の母、黒木瞳、

怖いガーン