今年の夏の暑さは今までに経験したことのない厳しさだったという声をあちらこちらで聞きました。

 この酷暑の影響はきっと様々なところに出ていることでしょう。多くの植物が枯れてしまったり、大量発生する昆虫がいたり、生態系に様々な変化が表れています。直射日光によって熱せられた金属で火傷した事故、多数の熱中症患者など想像以上の影響があると思われます。

 熱中症対策として「迷わずにエアコンを使いましょう」とテレビで医師が語っていました。確かに熱中症にかかってしまうよりも、涼しくして体調を管理した方がよいのでしょう。しかし、誰もが皆こぞってエアコンを使ったら、都市熱が上昇することは避けられないでしょう。室外機から排出される熱風は、外気温を上げ、よって皆がエアコンを使うという悪循環になっています。車もこの時期エアコンを入れずに走るのは厳しいですが、発熱体となって走る車も都市熱を上げています。これから毎年続くであろう夏の暑さに対し、私たちは何とか適応していかねばなりません。

 以前O157の感染が問題となった時、世界中から殺菌剤が集められたとききます。しかし細菌を死滅させようとする考え方は、細菌に耐性を与え、さらに強い毒性との闘いになっていきます。対処法だけではなく、根本的な適応力の付け方も考えねばならないでしょう。細菌と呼ばれる微生物ともうまく共存する方法を模索するように、酷暑にも適応できる体質を作る努力をし、できるだけ環境負荷の少ない暑さ対策や工夫を生活に取り入れたいものです。

これからは今までの常識を捨てて、著しい変化に適応することを迫られていくような気がします。日本でもスペインのシエステ(午睡)の習慣やアラブの人々の服装が取り入れられる日がくるかもしれません。

暑いのは辛いですが、夏には開放感があり、多量にかく汗は体内の毒素を排出してくれます。また筋肉がやわらかくなるというメリットもあります。早朝、夕方以降の時間の活用や、植物を使った日射対策、男性も帽子や日傘を使用するなどして欲しいものです。爽やかな音楽を聴いたり、ミントのような爽やかな香りなども効果がありそうです。

心に響く言葉

   世界は苦難に満ちている。また、それを乗り越えることにも満ちている 

                                   ヘレン・ケラー