「新宿バス放火事件」の被害者のドキュメンタリー番組を見た。
34年前に起きた、最初の無差別殺人事件と言われているらしい。
私にもこの事件の記憶は残っていた。ただ、被害者の方々がいまだに苦しみを抱えて生きていることに思いは至らなかった。
34年もの間、肉体的苦痛は言うに及ばず、2次的3次的災害の苦痛を抱えて生きてこられたことに驚いた。
2次的災害とは、人の目や口である。ちょっとした発言に非難が浴びせられたり、思いもよらない批判が刺さってくる。
いつも思うことだが、被害者の苦痛をかえりみない無神経な発言が、かつてどんなに彼らを苦しめてきただろう。
逆に言うと、人の言葉など気にしないで自分の信念を貫く強さがほしいと思う。
これは自分自身に対して思うこと。言うは易く、実際にはとても難しいと思うことだが・・・。
3次的災害とは、被災者の傷ついた心が周りの人の心も傷つけていってしまう事実だ。
最近耳にしたことだが、ある事件が起き、その家族の心が傷つき荒んでしまい、本当は互いにかばい、いたわり合うべきところを、現実には傷つけあってしまい、家族が崩壊の危機にさらされているとのことだ。
私は恵まれた運命に生まれ、大した困難や苦難に会わずに生きてこられた。そんな人間が発言していいかわからないけれど、私が痛切に思うことは、そういうことでさらに傷つけあうのはあまりに残念だということ。
この女性も、家族との絆を断ち切ってしまっていたことが苦しみを増していたのではないだろうか。
人生に起きる様々な困難は、人がやさしく謙虚になることを学ぶために起きるのだと聞いたことがある。
杉原さんというこの被害者の女性も、お兄さんとの絆を取り戻せて、お顔が穏やかになった気がする。
それにしても苦難を乗り越えて、生きてきた意味を見つめようとする姿勢は力強く、立派だと思う。是非、穏やかな心で人生を締めくくっていただきたい。