先日、清水かがやき塾の講師として、女優の岸惠子さんがみえた。81歳とは到底思えない美しさ。でも腰をかばうようにゆっくり歩いていらしたのが気になった。

長年パリに住み、世界をルポして歩かれたという充実した人生。加えて人が羨むような美しさと独特の雰囲気を湛えた素敵な方のお話が聞けて、楽しかった。

母が発売と同時に買い求め、読んでいたこの小説を、私も読んでみようと思った。

「わりなき恋」、わりなきとは何だろうと読み進めていくうちに夢中になった。

岸さんが、この中の主人公は私に似ていますが、これはフィクションで私ではありません」とおっしゃっていたけれど、どうしても彼女の声と姿が浮かんでしまう。やはり岸さんが経験なさったことや思ったこと、語った言葉が重なっていると思う。

それにしてもゾクっとするほど素敵な恋だと思う。70歳になっても、いや歳は関係なくいくつになっても素敵な恋ができたらいい。

現実にはなかなかありえないけれど、小説を読んでいる時間は私も九鬼という男性に恋する笙子の気持ちになっていた。

いくつになっても女を捨てずに、身も心も美しくありたいと願った。

自分を磨く努力を惜しまず、日々を優雅に暮らそうと、気をつけて背筋を伸ばしている。