8日水曜日、ヴァイオリンの伴奏で、安倍学園という特別支援の子どもたちの学ぶ施設へ行ってきた。


30分ほどのクラシックの名曲を、その子らはとても真剣によく聴いてくれたと感じた。


ほとんどが知的障害を持っている上に、家族の虐待を受け、家に居られずにここの施設に寝泊まりしているのだという。


「この子たちは皆、心に傷を受けているんです」そういう先生の言葉に、私は衝撃を受けた。


ただでさえ社会から差別されたり、蔑まれたり、子どもの間でもいじめを受けやすい子らを、一番守ってあげるべき両親が虐待する、そんなことがあるのかと。


ふとある情景が思い出された。


以前、プールに泳ぎに出かけた時、中学生くらいの女の子とその母親らしき二人連れがいた。お母さんはのべつまくなしその子を叱っていた。


「なんでぐずぐずしているの!さっさとやりなさい」


「なんでそんなこともできないの!しょうがないわね」


その子は靴を脱ぐのにも時間がかかっていた。困ったような顔をしていたが、そのうち自分で自分の顔を叩いたり、壁に頭をぶつけ始めた。


周りの人たちは何をすることもできなかった。


ああ、この子もこのお母さんも不幸だなあ、こんなに叱ったところで互いに不愉快だし、その子を混乱させるだけだ。お母さん自身だって、本当はこの子を叱っても無駄だとわかっているだろうに・・・・。



そうか、わかっていながらも怒りが爆発してしまう、未熟な親たちがいるのだ。


本当はその親たちも助けを必要としているんだろうなあ。


そう思うと、とても切ない気持になった。


こういう障害を持った人たちを温かく受け入れる社会のシステムは、もっと改善されないのだろうか。


私はその日、いつもより緊張して、精一杯ピアノを演奏した。