21世紀になったら何か新しい世の中になるかもしれない。私はそんな淡い期待を抱いていました。しかし2001年を過ぎても戦争はなくならず、この世の中がさらに悪い方向に向かっているような気がして、大きな不安を感じました。何か自分にできることを始めたい、まずそういう問題について話しあえる仲間が欲しくてグループTHINKを立ち上げました。

 そして「THINK」の通信文としてこの「DANKE」を書き始めたのが、20041月のとこでした。ほぼ毎月書き続けて気がつくと10年が経ちました。そこで今回はこの10年を振り返り、今の私の感じていることを書きたいと思います。

 環境学者の予想通り、地球温暖化は進み、自然災害は威力を増しています。生態系は大きく変化し、絶滅危惧種動物も驚くべき数で示されています。今日のニュースでも予想される地球の食糧難に備えるという話題が報じられていました。不安は増大するばかりです。また、パソコン、携帯が普及し、私たちの生活が大きく変化しました。便利と引き換えに失われつつあるものも多く、様々な問題も続出しています。

しかし、私は将来を悲観したくありません。それは、暗い気持ちで生きていたくないと思うことに加え、悲観はさらに悪いことを引き寄せるような気がするからです。「人の想いが未来を作る」、その言葉を信じるならば、人の心は変わりつつあるように感じています。特に東北大震災を経て、誰もが生きることの本質を見据えるようになったと思います。スポーツや芸能が上を目指すことを目的とするのではなく、頑張る姿が人々に喜びや感動を与えることと分かってきたのではないでしょうか。言葉や音楽の力が見直されているのも確かでしょう。目に見えない物の大切さ、祈り、思いやり、精神性の高さ、そういうものの価値が再確認されているように思います。

 時代が大きく転換する今、物より心を、本当の豊かさを大切にする人の輪を広げたいと思います。目先のことにとらわれず、大きな視点を持ち、不自然なことを取り除き、より自然な生き方を模索していこうと考えています。

そして、どんなことがあっても日本が戦争に加担する国になってほしくないと願わずにはいられません。

心に響く言葉

     乱世ほど余裕が大切である。余裕は心を養うより生ずる。

風雅も却ってこの処に存する。        安岡正篤