『フェイク シティ』

Amazonより
アル中で自堕落で汗臭い不良刑事ラドローを
クールで美形のキアヌ・リーブスが演じてます。
多分、この映画のために多少太ったんでしょうねぇ。
地球が静止する日より首周りにお肉が付いています。
マトリックス的なドンパチではなく、
非常に人間臭いアクションの映画ですから、
その努力は報われいていると思います。
冒頭、少女を誘拐した連中をラドローが問答無用で射殺するんですが
(なにしろ犯罪者とは言え、銃を手にすらしてない状態、
一人はトイレに入っている)そのあと、先に相手が発砲したように
工作するんです。
面白いのは後の検視に刑事とは別の連中が出てくるところ。
この辺がアメリカ的っちゃぁアメリカ的ですな。
組織を作るときに、必ず、別の組織によって相互チェックさせる。
人間の良心とか当てにせず、システマチックに監視する仕組みを作る。
これは現実の企業間の受発注なんかでも賄賂が発生しないように、
現場と金の流れを分けるようにしていたり、散見することができます。
もちろん、それでも不正は横行するわけで、
フェアを重んじるアメリカ人としては、そういうのが許せんのですな。
で、そう言うのが良く映画になります。
この映画もそういう社会派サスペンスの要素を含んでいます。
まぁ、ハリウッド映画ですから、ストーリー自体は子供でも追える
シンプルなものですが、そういう前提があるものですから、
大人向けに味付けされ、銃撃のリアルさはもちろん、
あんまりありがたくない腐乱死体なんかの描写もリアルです。
撃った弾の数を競うようなおバカな映画とはひと味違い、
大人向きのガンファイトですし、ストーリーはシンプルでも、
それぞれのシーンは面白いし、謎解き過程もなかなか見せます。
ラドローを庇い工作をする上司のフォレスト・ウィッテカーも
ラドローを追いまわす内部監査官のヒュー・ローリーも
それぞれの正義を貫きます。
そう、
正義?
英雄?
必要悪……?
そう言ったものを問いかける映画でもあるんですね。
『フェイク シティ』は暴力描写がキツめなので、
その点は注意が必要かもしれません。
最後まで読んでくださったあなたに、全ての良き事が雪崩のごとく起きます。